「銀座カラー」が破産 設立30年、国内30店舗、会員80万人

経営・業界動向
「銀座カラー」が破産 設立30年、国内30店舗、会員80万人

大手美容脱毛サロン「銀座カラー」を運営するエム・シーネットワークスジャパン(東京都港区、代表取締役:塚田啓子)は2023年12月15日より、破産手続を開始した。

設立30年、国内30店舗、会員80万人

エム・シーネットワークスジャパンの設立は、1993年5月。2023年11月時点で国内に30店舗、海外に23店舗を展開していた。会員数は約80万人、従業員数は1390人に上る。帝国データバンクによると、負債は約58億円で、債権者は10万人を超える見込み。

タレントを起用したテレビCMや交通広告が盛んで知名度も高かった。しかし人気を集めた回数無制限の全身脱毛コース「脱毛し放題プラン」は2019年末で終了し、回数プランのみとなっていた。

破産を発表した15日に全店舗を閉店。公式サイトに掲載された「お知らせ」では、新規予約を停止し、すでに入っている予約もすべてキャンセルするとした。16日現在は、公式サイトへのアクセス自体ができなくなっている。

コロナ禍も積極的に販促

エム・シーネットワークスジャパンはコロナ禍も積極的な販促を続けていた。

2020年春には新型コロナウイルスの影響をかんがみ、当時の一部店舗(東京20店、埼玉2店、千葉4店、神奈川4店、大阪4店、兵庫2店、福岡1店)にあたる37店舗を1カ月ほど臨時休業した。

それにもかかわらず、2020年夏の銀座カラー新規契約数は前年を上回ったと発表。冬には最大2万円分の割引クーポンをプレゼントするキャンペーンを打つなど攻勢をかけていた。

低料金・長時間施術・大規模展開の脱毛サロンが苦境

オリコンによる脱毛サロンの顧客満足度調査では、2021年が1位、2022年および2023年が2位だった。ランキングでは好調な一方、SNSでは「予約が取りにくくなった」「施術時間を制限される」などの不満の声も上がっていた。

このランキングで同じく上位の常連だった「シースリー」の運営会社であるビューティースリーもすでに破産手続きを開始している。「キレイモ」を展開するヴィエリスは未払い債務の問題が起き、一部事業譲渡を行った。

ビューティースリーや男性専用脱毛サロン「ウルフクリニック」のTBIの倒産が明らかになった今年9月、帝国データバンクは「2023年の脱毛サロンの倒産が9件(前年は4件)と過去最多であり、初めて年間10件に到達する可能性がある」としていたが、この通りになった。私的整理や廃業は倒産件数に入らないため、実態としてはより多いと見られる。

「通い放題プラン」などの低料金・長時間施術を主軸に大がかりな展開をしていた脱毛サロンが苦境に立たされている。一方、脱毛のニーズや市場規模自体は広がっていることから、小規模サロンが健全で堅実な経営を行っていくことが、業界の未来には重要と言えそうだ。

編集・文/大徳明子

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