ホットペッパービューティーアカデミーが毎年発表している美容サロン利用に関する大規模調査「美容センサス」。2024年版を6月25日に発表しました。美容業界に役立つ情報提供につながれば幸いです。美容室・理容室の最新トピックをご紹介します。
文・作表 田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
目次
①市場規模は美容室1兆3,543億円、理容室2,762億円
まず始めに、美容センサスのデータから推計した美容室と理容室の市場規模を見てみましょう。
市場規模推計(円)
=人口(人)※1×1年以内のサロン利用率(%)※2×1回あたり利用金額平均(円)※3×年間利用回数平均(回)※4
※1 人口データは人口推計(総務省統計局)を使用。年齢(5歳階級)、男女別人口―総人口(各年10月1日時点)。調査年の前年10月1日時点の人口を使用
※2※3※4 ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期≪美容室・理容室編≫資料編」より使用
美容室の市場規模は、1兆3,543億円(前年比0.1%減)で、2022年からほぼ横ばいとなっています。理容室の市場規模は、2,762億円(前年比0.2%増)で2022年から大きな変化は見られません。
マーケット全体としては前年からの大きな変化は見られませんが、実は市場の構造には変化があります。
②男性の美容室の市場規模が161億円増加!
市場を男女別に見てみましょう。女性の美容室の市場は、前年から176億円減少(前年比0.1%減)していますが、男性は前年から161億円増加(前年比4.8%増)しており、男性の市場が拡大していることが分かります。
美容室を利用する男性が増えており、利用するメニューが多様化し利用金額が上昇していることが背景にあります。詳しくデータを見ていきましょう。
③1回あたり利用金額は男女とも直近5年で最高額に
1回あたりの利用金額は、女性7,482円、男性4,708円です。男女ともに、ここ5年で最高額に達しました。
男女とも高価格帯(女性は10,001円以上のシェア、男性は6,001円以上のシェア)が年々増加しています。金額アップの理由を見てみましょう。
④利用金額が増えた理由の1位は「値上げ」。2位は?
1回あたりの利用金額の増加は、男女とも昨今の「値上げ」による影響が大きいのは事実で、今回の調査でも7割~8割が「メニュー料金の値上げのため」と回答しています。
一方で、女性は「カラーにかける金額が増えたため」が21.0%、「トリートメント、ヘッドスパにかける金額が増えたため」が14.1%と、値上げ以外の影響も見受けられます。
美容室では、物価高の前から1回あたりの利用金額は上昇傾向にあります。女性については若年層を中心に、ハイトーンカラーや髪質改善など、高単価メニューが引き続き流行していることも影響しているでしょう。
また男性も、値上げ以外にも「トリートメント、ヘッドスパにかける金額が増えたため」「カラーにかける金額が増えたため」が一定金額の上昇に影響しています。男性のみ、「パーマにかける金額が増えたため」が10.0%あることも注目です。