「日本庭園テーマの和風バーバー」から「韓国コスメの自販機ショップ」まで タフデザインアワード2024

経営・業界動向
「日本庭園テーマの和風バーバー」から「韓国コスメの自販機ショップ」まで タフデザインアワード2024

枯山水を表現した「HIRO GINZA名駅西口店」のエントランス

美容サロンを中心に設計を手がけるタフデザインプロダクト。

1年間に施工した中から優れた店舗デザインを表彰する「TOUGH Design Award(タフデザインアワード)2024」のベストデザイン賞には、日本庭園をテーマとした「HIRO GINZAヘアーサロン名古屋駅西口店」が輝いた。

理美容室を中心に年間1000件をデザイン

タフデザインアワード2025発表
6月に都内で開催されたタフデザインアワードで、野村貴久代表(手前)が受賞者を発表

ビューティガレージのグループ企業であるタフデザインプロダクトは、年間1000件近い店舗設計を手がけている。2025年4月期は985件(100万円以上は340件)を施工し、売上高は35億2500万円に上った。

2回目となる「タフデザインアワード」では、グループ数百名の社員らの投票を経てベストデザイン賞1点、グッドデザイン賞4点が選出された。

枯山水に月、非日常な空間を演出(HIROGINZA)

栄えあるベストデザイン賞を受賞したのは、ヒロ銀座の名古屋2店舗目となる「HIRO GINZAヘアーサロン名古屋駅西口店」。

井口美紅さん、望月優さん、秋山日奈さんの3名のデザイナーが担当し、「日本庭園」をテーマに大人の男性が落ち着いてくつろげる高級感や上品さのあるサロンに仕上げた。

タフデザインプロダクトのHIRO GINZA(名古屋)
個室までの通路の正面に神秘的にたたずむ「月」。床のタイルに反射して映る月が雰囲気を引き立てる。通路の両サイドには四季を表すドライフラワーをあしらった
タフデザインプロダクトのHIRO GINZA(名古屋)
「和」を取り入れた個室。棚のオブジェも一つひとつセレクトした。セット面上部のデザインは個室ごとにすべて異なる
タフデザインプロダクトのHIRO GINZA(名古屋)
「入口から入ってすぐ目に止まるカウンターの後ろに枯山水を表現して非日常な空間を演出しました」
タフデザインプロダクトのデザイナー、HIRO GINZA
左から担当デザイナーの井口美紅さん、望月優さん、秋山日奈さん
タフデザインアワード2025発表
ベストデザインの賞状、クリスタルのトロフィー、副賞を手にした笑顔の3名と野村代表

時間と共に“味わい深くなる”サロン(collina)

続いて、グッドデザイン賞には4点が選出された。東京・代官山の「collina(コリーナ)」は、開けた角地という立地で、自然光が贅沢に入る心地の良い美容室。

担当デザイナーの眞田恵人さんは「曲線やアクセントカラーなどのフォトジェニックな記号的モチーフを極力控えて、時間と共に“味わい深くなる”デザインにしました」と話す。

タフデザインプロダクトのcollina(東京)
時間が蓄積して“良い表情”になった天井躯体を活かし、内装材も経年の変化を楽しめるものにした
タフデザインプロダクトのcollina(東京)
メッキ加工した可動式のパーテーションは空間にアクセントと変化をもたらす装置となっている
タフデザインプロダクトのデザイナー、collina
「トレンドに左右されず何年も変わらず愛してもらえるような美容室になって欲しいという想いを込めて設計しました」(眞田恵人さん)

緊張感とリラックスの絶妙なバランス(mok)

同じくグッドデザイン賞の「mok(モク)神楽坂店」は、神楽坂の商店街から脇道に入ったテナントの2階に位置する。

担当デザイナーの稲村友輔さんは「緊張感とリラックスの絶妙なバランスを感じられるサロンに仕上がった」と振り返る。

タフデザインプロダクトのmok(神楽坂)
全体をグレーとブラックのモノトーンで統一することで視覚的なノイズを排除
タフデザインプロダクトのmok(神楽坂)
照明の陰影や素材感で心地よさや柔らかさを演出している
タフデザインプロダクトのデザイナー、mok、nica
「上質な空間を心がけながらデザインしました」(稲村友輔さん)

ミッドセンチュリー+抜け感+ユーモア(nica)

グッドデザイン賞を受賞した東京・二子玉川の「nica(ニカ)」。担当デザイナーは、mokと同じく稲村友輔さんが務めた。

タフデザインプロダクトのnica(東京)
ミッドセンチュリーデザインのエッセンスを取り入れつつ、現代的な抜け感とユーモアを意識した空間
タフデザインプロダクトのnica(東京)
コンクリートの素の空間に、素材や造形など様々な要素をミックスさせた什器を配置。個性的で自由で期待感の漂うサロンに仕上げた

おもちゃ箱みたいな韓国コスメの自販機ショップ(HEPFIVE)

グッドデザイン賞に選出された「aiicosme HEPFIVE(アイコスメ ヘップファイブ)」は、サロンではなく韓国コスメのショップ。しかも通常の販売店ではなく、自動販売機を置いた無人店舗だ。

担当デザイナーの山下築さんによると、コンセプトは「バービー」。赤い観覧車で知られる大阪・梅田の商業施設ヘップファイブには、高校生や大学生が平日、週末を問わず訪れる。学生をターゲットに非日常を感じられる空間をデザインしたという。

タフデザインプロダクトのaiicosme HEPFIVE(大阪)
おもちゃ箱の中に入り込んだような世界観
タフデザインプロダクトのaiicosme HEPFIVE(大阪)
バービーが人気を集めた1960年代のレトロアメリカンテイストのエッセンスを取り入れている
タフデザインプロダクトのデザイナー、aiicosme HEPFIVE
「詰め込んだ遊び心を店頭で感じていただきたいです」(山下築さん)

美容サロン以外も3割に

タフデザインプロダクトが手がける領域は年々拡大しており、現在ではクリニックやショップ、飲食店など、美容サロン以外が約3割を占めている。

また拠点も、東京、大阪、名古屋、福岡、金沢と各地へ広がっている。若手にもベテランデザイナーにも日々の努力が実るモチベーションアップの機会となっているタフデザインアワード。次回はさらなる盛り上がりを見せそうだ。

文/大徳明子

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