脱・歩合制。定額制のシェアサロン「FBeauty」誕生

経営・業界動向
脱・歩合制。定額制のシェアサロン「FBeauty」誕生

激戦区・表参道に新たなシェアサロン

美容師の働き方が多様化する中、注目を集めるシェアサロン。10月17日、東京・表参道に定額制シェアサロン「FBeauty(エフビューティー)」がオープンした。

FBeauty表参道店の入る和秀ビルは、今年5月末で移転した「トニーアンドガイ原宿サロン」の跡地。業界で話題のシェアサロン「GO TODAY SHAiRE SALON」の原宿本店から徒歩7分の立地だ。

個室風のセット面は全8席

          個室風のセット面は全8席

店舗は、和秀ビルの地下1階で、個室風セット面(カットブース)8席、シャンプー3台。年中無休で、平日は午前11時から午後9時、土日祝は午前10時から午後9時まで営業する。

定額料金制を採用

一般的な美容室や面貸しサロン、有名シェアサロンでは歩合制を導入しているところも多いが、FBeautyは定額制を採用。高単価の施術ほど、歩合制との差がつくため、美容師のモチベーションが上がるシステムだ。

サロンの利用は会員制。美容師は公式サイトから時間単位の定額チケットを購入し、カットブースを予約する。

チケットは1時間券が2000円。当面はオープンを記念して20%オフの1600円で販売する。

有料の月額会員になると、お得な10時間券、20時間券、50時間券、100時間券を購入可能。100時間券なら1時間1200円で利用できる。

 歩合制との比較(FBeauty資料)

また、店舗での会計用に、美容師会員一人ひとりにクレジットカード決済端末を貸与する。施術メニューや価格、顧客情報、代金清算などについては、原則としてFBeautyは一切関与しない。

教育制度の充実図る

一見、場所の提供のみの印象を受けるが、教育制度については充実を図る考えで、技術講習やマナー講習、一般教養に関するセミナーを行うアカデミーの構想を練っている。

運営会社のエフビーパートナーズ(東京都渋谷区。杉本典子社長)の会長である杉本好正氏は「マンツーマンで2時間ちかく接客し、顧客と会話する美容師は、文化や経済についての教養も必要とされる職業。技術から一般教養まで学ぶ機会を設けたい。美容大学院、美容師のMBAという位置づけで考えている」と意欲を示す。

面貸しサロンとは異なり、シェアサロンは美容師個人の顧客による完全予約制。シェアサロンで働くフリーランス美容師には、高い個の能力が求められる。

SNSの普及で美容師個人による情報発信が容易になり、LINEや「ミニモ」を通じて美容師個人を指名予約する仕組みができたことで、顧客が店ではなく個人に付く時代になってきたとはいえ、個人の力だけで顧客を抱え続けるのは至難のわざ。

FBeautyが取り組む「技術だけでなく、総合的な成長をサポートする仕組みづくり」は興味深いものになりそうだ。

シェアリングエコノミーを美容業界で

杉本会長は、大手邦銀2行、大手監査法人を経て、現在はITを活用した金融機関向けマネジメントコンサルティング会社の社長を務める。

「これからはシェアリングエコノミーの時代。どの分野で事業化するかを考えた時、美容業界の課題を、シェアリングエコノミーで解決したいと思った」(杉本会長)ことがFBeauty立ち上げのきっかけだという。

オーバーストアや人手不足、低価格、高い廃業率などの問題を抱える美容業界に対し「エコシステム(連携・協業などによる事業生態系)が無いと、長続きしない。エコシステムの構築とまではいかなくても、少なくともFBeautyは目指す場所への階段、チャンスを用意できる」と話す。

IT業界からの参入は、「価格.com」を創設した槙野光昭氏による美容室「ALBUM」、ヘアサロン検索サイト「美美美コム」(現•楽天ビューティに吸収)を立ち上げた大庭邦彦氏が展開するシェアサロン「GO TODAY SHAiRE SALON」などがあり、美容業界で耳目を集める存在となっている。

IT系マネジメントコンサルティング会社の社長が、美容室の激戦区・表参道に出店した、定額制の新たなシェアサロン。その今後の展開から目が離せない。

エントランスには巨大なスマートフォン風ディスプレイ

エントランスには巨大なスマートフォン風ディスプレイ。スマホと同じ機能があるため、インスタグラムの投稿や、自撮りができる

◆FBeauty公式サイト
http://fbeauty.co.jp/

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