【美容室の経営改善】1円玉500枚に400円!? ちりつもの両替手数料を考える

経営・業界動向

両替を減らす4つの対策

硬貨とトレー
小さな工夫でコツコツと

少しでも減らしたい両替のための出費。たとえ、わずかな削減だったとしても、ちりも積もれば山となる。両替を減らすための対策を考えてみた。

総額表示で「キリのいい料金」に

まずは、施術料金をキリのいい価格にすることを提案したい。4,200円よりも4,500円、4,500円よりも5,000の方が釣り銭が出ない。

しかも、ちょうど料金を改定しやすいタイミングなのだ。2021年4月から総額表示が義務化されるため、今は施術料金を税別で表示している美容室も、税込表示に変えなければならない。この機会に、さりげなくキリのいい価格に調整してみてはどうだろう。

競合や客層から値上げが難しければ、逆に端数を切り下げるのも手だ。1円玉を500枚用意するのに300円ないし400円の手数料がかかる上、レジ締め作業の手間を考えると、いっそのこと端数を切り下げた方がコスト軽減につながる場合もある。

「小銭が不足しています」のミニPOP

キャッシュトレーに「小銭が不足しています」のミニPOPを添える。たったこれだけでも、あるとないとではお客さまの意識が変わる。

アパレルショップや飲食店ではよく見るが、それに比べると美容室は取り入れているところが少ないように思う。

普段の買い物で小銭をためる

そして、案外あなどれないのが日々の小さな積み重ね。プライベートな買い物では、なるべくお札を使って小銭にくずしておきたい。

地味な方法だが、客数を絞ったマンツーマン接客のサロンや個人店など、釣り銭を渡す回数が少ない場合はこの方法でもそれなりにまかなえる。

キャッシュレスを進める

最後に紹介するのは、王道の対策である「キャッシュレス化の推進」。クレジットカードや電子マネーによるキャッシュレス決済を導入することで、現金を扱う機会を減らそう。

レジ業務の時短・効率化につながり、コロナで接触を減らしたいというお客さまへの配慮にもなる。

また、プラスメニューや店販品を勧めやすくなるのも利点だ。その日は手持ちが少ないというお客さまもクレジット払いなら気軽にオプションメニューを頼めるので、客単価をアップさせやすい。

キャッシュレス化は不可逆の流れ

経済産業省が2020年1月に発表した資料「キャッシュレスの現状および意義」によると、主要各国のキャッシュレス決済比率が40~60%なのに対して日本はまだ20%程度。これを「2025年までに約40%へ、将来的には世界最高水準の80%を目指す」というのが国の方針だ。

つまり、キャッシュレス化は不可逆の流れということだ。キャッシュレス推進のための優遇策がいろいろ出てくるということであり、それは見方によっては現金払いが損になる施策と言える。

「キャッシュレス決済は手数料が負担なので現金の方がいい」という声も根強いが、現金の両替だって手数料はかかるのだ。銀行口座にも手数料がかかる流れもあるくらいなので、両替手数料は今後も断続的に引き上げられる可能性が十分にある。

昔は無料だったものがあれこれ有料になり、1円玉50枚を用意するのに400円かかってしまう時代だからこそ、これからの美容室の経営には、小さな工夫の積み重ね、釣り銭のコストまで加味した価格設定、キャッシュレス化の情報にアンテナを張るなど、複合的な対応がますます求められることになりそうだ。

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