美容室の倒産件数、過去10年で最多か

東京商工リサーチ1-11月調べ。全国で86件、昨対比1.3倍


美容室倒産過去最多

美容室の倒産、11カ月で86件

 東京商工リサーチは12月10日、美容室の倒産件数が過去10年で最多になるとの予想を発表した。

 2018年1月~11月の美容室の倒産件数は86件。すでに昨年1年間の倒産件数72件を上回り、前年同期の1.3倍で推移している。

 過去10年の最多は、2011年の91件。このままのペースで推移すると単純計算でも95件前後で過去最多となり、年末の倒産件数増を加味すると100件に届く可能性もある。

倒産の大半が小規模・零細企業

 2018年の倒産の過半数が個人企業で、従業員5人未満が全体の約9割を占める。資本金別では、個人企業が48件(前年同期22件)と最も多く、100万円~500万円未満の21件(同24件)、500万円~1000万円未満の9件(同7件)と続く。

 一方、負債10億円以上の大型倒産はない。8割以上が5000万円未満のため、平均負債額は3300万円と小規模にとどまっている。11月までの負債総額は、前年同期比9.6%増の29億1600万円。倒産件数の増加ほどには、負債総額は増えていない。

 大きな負債を抱えて倒産するというよりも、客足が鈍り、運転資金がショートして、小さな美容室が行き詰るケースが増えていることがうかがえる。

美容室倒産過去最多グラフ

昨年と比べ、負債額は横ばいだが、倒産件数が増えている。小さな美容室が、経営体力を消耗し“息切れ倒産”していることが見て取れる

倒産原因は「販売不振」が9割

 原因別では「販売不振(業績不振)」が78件、形態別では「事業消滅型」の破産が79件とそれぞれ9割を占めた。

 オーバーストアによる過当競争、いったん業績不振におちいると事業再生が難しいという美容業界の構造が浮き彫りになった。

全国的に倒産発生。最多は近畿33件

 地区別では、全国9地区のうち四国を除く8地区で倒産が発生した。最多は近畿の33件(前年同期25件)。以下、関東20件(同24件)、中部16件(同3件)、九州6件(同7件)、中国3件(同0件)、北海道3件(同1件)、北陸3件(同0件)、東北2件(同3件)と続く。

 北海道、中部、北陸、近畿、中国の5地区で前年よりも倒産件数が増えている。

美容室数は10年で1割増、2万6000店舗増加

 厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、美容室(美容所)数は、2008年度の22万1394施設から、2017年度には24万7578施設となり、この10年で2万6184施設(11.8%)増加した。

 この店舗数は、大手7社の国内コンビニエンスストアの店舗数5万5564店(日本フランチャイズチェーン協会調べ、2018年10月時点)の約4.5倍に相当する。

 東京商工リサーチは「このオーバーストアを背景に、クーポン割引やポイントカードの多用などによる過当競争が厳しさを増し、経営体力を消耗して息切れする事業者が多くなっている」と分析している。

 美容室経営者からは、経営上の問題として「客数の減少」と「客単価の低下」が上位に挙がった。

 特に「客数の減少」は深刻で、地方を中心とした人口減少に加え、年に数回しか利用しない客層が拡大している。また、「客単価の低下」は、“1000円カット”などの低価格サービスや値引きキャンペーン、低価格店の増加で、過当競争に拍車がかかっている。

 東京商工リサーチは、集客方法が従来のチラシ広告から集客サイトへ移行していることについて「店舗周辺の固定客で成り立った営業方法が年々、難しくなってきていることの表れ」との見方を示し「低価格チェーンと高級サロンとの二極化が進む」と業界動向を予想した。

◆ビュートピア 編集長の目◆

 今回の予測は、東京商工リサーチのTSR企業コード(※1)から「美容業」を抽出したデータに基づくものです。TSRとは東京商工リサーチの略称で、この独自の企業識別コードは、260万社以上に割り当てられています。

 約25万軒に上る美容室にTSRコードが隈なく割り振られているものなのか、東京商工リサーチに問い合わせたところ「元々コードが無かった企業であっても、倒産情報が出たら、TSRコードを振っている」との回答がありました。倒産、自己破産の情報は官報などで把握できるため、かなり正確な情報と言えます。

 ただし、自主的な廃業は倒産件数には入らないため、経営が行きづまる美容室の数は、倒産件数よりもはるかに多いと思われます。

 今年2月には、帝国データバンクが「理美容業の倒産動向調査」(※2)を発表しました。この調査では、2017年の倒産件数を美容業135件、理容業16件の計151件としていますが、ここでいう美容業は、美容室、エステサロン、ネイルサロン、脱毛サロンをすべて含めているため、今回の調査が美容室の実態に近いものとなります。 

 あと4カ月あまりで平成の時代も終わりますが、平成元年の店舗数と比べて、美容室は6万2126店も増えました。人口が減る中、店舗が増える美容業界は飽和市場です。

 髪を切る、染めるといった従来の施術以外の美容サービスや物販が、今後ますます重要性を増すことになるのは必至です。ビュートピアでも、これからの美容室経営に役立つ情報をお届けしていきたいと思います。

※1 TSR企業コードとは
http://www.tsr-net.co.jp/guide/knowledge/glossary/alphanumeric_05.html

※2 理美容業の倒産動向調査(2017年)
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p180204.html

【関連記事】 平成の時代、美容室はどれだけ増えた?
平成時代の終わり。理美容室店舗数の変遷を振りかえる。美容室が過去最高の24万7578店。理容室は減少続く
https://www.beautopia.jp/4000

 


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