文・写真 女性モード社
『EYE LOGIC』は、古城氏が長年かけて見いだしたヘアデザインにおける「美」を、5つの要素に分け、それに沿って章立てされている。
それらの要素に共通するのは「視点」だ。
本書内で展開されている「5つの視点」とは、古城氏が日々、ヘアをデザインする中で発見し、少しずつ書き溜めてきた「美しさの理由」。
そこには、美容技術やデザインセンス以前の「ヘアデザインのどこを見て、何を考えればいいのか」というさまざまな要素に対する答えがある。
この「5つの視点」を理解することで、誰でもデザイン発想の「取っ掛かり」をつかむことができるのだ。
シンプルな要素だが、ヘアデザインの最終的なクオリティを決める、基本にして重要なファクター。
その角度や形状(直線か曲線か、など)、厚み、質感などによって、デザインにさまざまな感情を与え、イメージをつくる。
また線を操るためには、その集合体である「面」もコントロールしなければならない。
髪は立体物。すなわち、3D上における形を示す「フォルム」は、美容師が最も重視すべきもの。
G、Lの構成やスライスの取り方、パネルコントロールなど、特定の組み合わせで切った髪が、落ちたときにどんな形になるのか。
それらがどんなフォルムやバランスを形成し、どんなイメージを生むのかを考えたい。
髪は当然ながら人間の顔と共にあり、髪と肌は常に連動した関係にある。
肌をどのくらい見せたいのか、あるいは隠したいのかは、つくりたい女性像を大きく左右する。
肌色の面積がつくり出す「明」(空間バランス)と髪の面積が生む「暗」(重量バランス)の均衡が取れてこそ、美しいヘアデザインが生まれるのだ。
「空間バランス」と「重量バランス」も、その取り方にはさまざまな視点がある。
安定した比率にするのか、不安定な美しさを狙うのか……。
また、ヘアデザインには、見えない「バランス線」という概念もあり、これも展開方法はさまざま。バランスについて知ることは、ヘアデザインの多様性を広げることにつながる。
人の目に留まるものには、必ずデザインの「急所」、すなわちポイントがある。
それが強ければデザイン性が高くなり、インパクトも強くなる。つくり手の意図が集約された部分であり「見せ場」だと言えるだろう。
フォルムやバランスなど、他の「視点」との足し引きをしながら、その見せ方を考えよう。
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