カテゴリー: 特集・インタビュー

DADA CuBiC 古城隆のヘアデザイン「美しさの理由 5つの視点」

文・写真 女性モード社

『EYE HAIR DESIGN LOGIC × VISUAL』は、デザインロジックについてさまざまな角度から解説した『EYE LOGIC』(160ページ)と、古城氏が女性モード社刊行物で発表した作品の中から選りすぐりのデザインを集めた『EYE VISUAL』(96ページ)の2冊セット

<Introduction>古城隆が見いだした「5つの視点」とは

『EYE LOGIC』は、古城氏が長年かけて見いだしたヘアデザインにおける「美」を、5つの要素に分け、それに沿って章立てされている。

それらの要素に共通するのは「視点」だ。

本書内で展開されている「5つの視点」とは、古城氏が日々、ヘアをデザインする中で発見し、少しずつ書き溜めてきた「美しさの理由」。

そこには、美容技術やデザインセンス以前の「ヘアデザインのどこを見て、何を考えればいいのか」というさまざまな要素に対する答えがある。

この「5つの視点」を理解することで、誰でもデザイン発想の「取っ掛かり」をつかむことができるのだ。

潔くワイドに切り込んだバングのラインと、バックの強いウエイト感がポイント。インパクトのあるバランスだが、耳上のやわらかい束感と、ネープ部分の曲線的な髪の動きで抜け感のある印象に

シンプルなショートレイヤーベースに、サイドのセクションを際立たせるため、ダイナミックにディスコネクトしてデザインポイントをつくった。うねるような束感と、あえて崩したライン感で、ラフなニュアンスをプラス

大きく崩しながら動かすことを想定したカットベースがポイント。動かしたときのフォルムや毛束の動きを予想して入れたレイヤーと、耳周りの肌が透けて見えるように施したディスコネクションで、よりランダムな動きを感じさせている

【線】~デザインの「イメージ」や「感情」をつかさどるもの

シンプルな要素だが、ヘアデザインの最終的なクオリティを決める、基本にして重要なファクター。

その角度や形状(直線か曲線か、など)、厚み、質感などによって、デザインにさまざまな感情を与え、イメージをつくる。

また線を操るためには、その集合体である「面」もコントロールしなければならない。

【フォルム】~「形」そのものが持つ印象を理解する

髪は立体物。すなわち、3D上における形を示す「フォルム」は、美容師が最も重視すべきもの。

G、Lの構成やスライスの取り方、パネルコントロールなど、特定の組み合わせで切った髪が、落ちたときにどんな形になるのか。

それらがどんなフォルムやバランスを形成し、どんなイメージを生むのかを考えたい。

【肌の見せ方】~顔の見え方を司る要素=イメージをデザインすること

髪は当然ながら人間の顔と共にあり、髪と肌は常に連動した関係にある。

肌をどのくらい見せたいのか、あるいは隠したいのかは、つくりたい女性像を大きく左右する。

肌色の面積がつくり出す「明」(空間バランス)と髪の面積が生む「暗」(重量バランス)の均衡が取れてこそ、美しいヘアデザインが生まれるのだ。

【バランス】~美しさの多様な展開を可能にする視点

「空間バランス」と「重量バランス」も、その取り方にはさまざまな視点がある。

安定した比率にするのか、不安定な美しさを狙うのか……。

また、ヘアデザインには、見えない「バランス線」という概念もあり、これも展開方法はさまざま。バランスについて知ることは、ヘアデザインの多様性を広げることにつながる。

【ポイント】~良いデザインには「目が行く部分」がある

人の目に留まるものには、必ずデザインの「急所」、すなわちポイントがある。

それが強ければデザイン性が高くなり、インパクトも強くなる。つくり手の意図が集約された部分であり「見せ場」だと言えるだろう。

フォルムやバランスなど、他の「視点」との足し引きをしながら、その見せ方を考えよう。

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