大人の社交場。オペラ座で楽しむ『トリビュートショー』

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大人の社交場。オペラ座で楽しむ『トリビュートショー』

ヴィダルサスーンクリエイティブディレクターのセッションアシスタントを務めるなど、英国で修行を積み、今も毎年、ロンドンを訪れているNobu Etoさん。
今回は、大人の社交場の香りが漂う「トリビュートショー」について。
それぞれ個性がはっきりしているというロンドンのヘアショー事情をレポートします。

BHA最多受賞者、優勝者らが出演

ロンドン滞在3日目、10月14日。この日は昼にJHA用の作品撮りを行った後、夜はそのまま「トリビュートショー」に直行!

ヨーロッパの美容専門誌「TRIBUTE(トリビュート)」が主催するこのヘアショーは、毎年10月、EU圏で活躍する著名美容師を数名チョイスして開催されます。

同じ日、同じ時間にロイヤルアルバートホールで小児白血病研究基金チャリティーイベントの「オルタナティブヘアショー」も行われていたのですが、こちらは去年観に行ったので今年はトリビュートショーにしました。

出演者は、BHA(ブリティシュヘアドレッシングアワーズ)の最多受賞者であるアンジェロ・セミナラや、今年のBHAグランプリをとったブルックス&ブルックスなど超豪華な顔ぶれ。

特に、トリを務めたアンジェロ・セミナラのクリエイティブな発想と技術力は、会場から一番の拍手と驚きの声が上がり、やはりアンジェロは別格なクリエイティビティーだと感じました。

ヨーロッパの著名美容師が交遊

会場は、コベントガーデンのオペラ座・ノヴェロ劇場。

オペラ座は円形で1階から3階まであります。1階のアリーナ席にはヨーロッパの著名美容師が多数集まり、SHOWの合間の休憩時間は、ワイングラスを片手に社交場のようになっていました。

皆さん、SHOWを見ることと同じくらい、交遊の場としてのトリビュートショーを大事にしているのだと感じます。

ちなみに2、3階席からは1階席に移動できないようにセキュリティーが立っています。

僕はラッキーなことにアリーナ席を用意していただいたので、休憩中に前の職場のボスやサスーン時代の先輩方に挨拶や近況報告をしました。

昨今のパリコレやNYコレクションでも同じですが、フロントロー(最前列)は有名人やインフルエンサーが優先的に座っています。社交の場として利用してもらい、インスタの配信などでブランドの広告効果を狙ってのことだと思います。

見せるのは、技術とクリエイティビティー

ロンドン・オペラ座のトリビュートショー

ロンドン・オペラ座で開催されるトリビュートショー

トリビュートショーは、前座でミュージシャンが演奏して会場を盛り上げたり、お酒を飲んだりしながら優雅な雰囲気で始まります。

日本のヘアショーでは、美容師以外がステージに上がったり、美容以外の派手なパフォーマンスがあったりしますが、トリビュートショーではありません。美容師の技術とクリエイティビティーのSHOW(見せる)にフォーカスしています。

前日に行われたアンダーグラウンドなヘアショー「NOISE」よりも、大人で紳士な感じの雰囲気です。

明確なショーコンセプト

ロンドンで生活していると年に何度かヘアショーを見る機会があるのですが、どのヘアショーもコンセプトがはっきりしているのが素晴らしいと思います。

例えば、オルタナティブヘアショーには小児白血病研究基金チャリティーイベントという確固たるコンセプトがあります。

チャリティーイベントということで、ヴィダルサスーン、トニー&ガイ、サンリッツ、TIGI などのトップサロンが同じステージに登場するという、なかなかあり得ないことが実現し、LIVE AID(20世紀最大のチャリティーコンサート)のような盛り上がりを見せます。

NOISEは逆にアンダーグラウンドでクローズドなイベントなので、誰でもウェルカムな雰囲気ではなく、クリエイティブが好きな人が来てくれたらそれでいいという趣旨で行っています。

へんぴな場所にあるクラブで、DJが音楽をガンガン鳴らす中、個性的な美容師さんが集まる感じです。

一方、トリビュートショーは、正装してワインを片手に、オペラを見るような雰囲気でヘアショーを見るという大人の社交場です。

日本のショーも差別化を

チャリティーイベントであるオルタナティブヘアショー、アンダーグラウンドなNOISE、大人の社交場となっているトリビュートショー。それぞれ個性的でコンセプトがはっきりしています。

日本に帰国して色々なヘアショーを見に行きましたが、良くも悪くも“THE日本の美容師さん”のSHOWで、主催のメーカーやディーラーが違っても、どこも同じようなステージ構成や見せ方だと感じます。

もっとイベントごとにコンセプトやターゲット層を絞り込んでいかないと、イベント自体の差別化やステージに立つ美容師の成長にならないのではないでしょうか。

※次回は、「NOISE」を主催しているサロン「SACO」のコレクションランチセミナーをレポートします。

 

◆ヘア&ビューティマガジン「TRIBU-TE」
http://www.tribu-te.co.uk/

 

Nobu Eto
Safariクリエイティブディレクター。日本でのサロン勤務を経て2004年に渡英。ヴィダルサスーンアカデミーを卒業後、ヴィダルサスーンクリエイティブディレクター、ビリー・カーリーのセッションアシスタントを務める。2010年、ディレクターが独立して開いたサロンにスタイリストとして参加、カットの教育を担当する。
Instagram : safariacademy

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