外国人美容師の就労解禁 国家戦略特区で5年以内

経営・業界動向
外国人美容師の就労解禁 国家戦略特区で5年以内

外国人美容師の就労が、ついに解禁される。

内閣府および法務省、厚生労働省は2021年7月30日付で「国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領」を発表した。

就労期間は通算5年以内、育成計画の作成・状況報告などの条件が課せられる。

外国人美容師はクールジャパンを世界へ発信する担い手

外国人美容師について、業界では人手不足解消の文脈で語られることも少なくないが、国家戦略特区における外国人美容師育成事業は「日本式の美容に関する技術や文化を世界へ発信する担い手を育成する」ことを目的としている。

恒久的な労働力の確保ではなく、日本で身につけた技能を母国へ持ち帰り広めてもらうことを目指しているため、外国人美容師の就労期間(特定美容活動の従事期間)は「通算5年以内」とされている。

外国人美容師育成事業とは

外国人美容師育成事業は、日本の美容製品の輸出促進や、インバウンド需要に対応するため、日本の美容師養成施設を卒業して美容師免許を取得した外国人留学生に対し、一定の要件の下、美容師としての就労を目的とする在留を認め、日本式の美容に関する技術や文化を世界へ発信する担い手を育成する事業です。

引用:内閣府国家戦略特区HP

外国人美容師育成事業の目的

この要領は、我が国で美容に関する実践経験を積んだ人材の海外における活躍を推進することを通じて、日本の美容製品の輸出による産業競争力の強化やブランド向上を含むクールジャパンの推進を図るとともに、インバウンドの需要に対応するため、日本の美容師免許を有する外国人材を育成する国家戦略特別区域外国人美容師育成事業に関して、その実施に必要な事項を定め、もって本制度を適正かつ円滑に実施することを目的とする。

引用:国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領

また、外国人美容師本人の条件にも「日本の美容を世界へ発信する意思がある」ことが求められる。

主な条件
・美容師免許を取得または取得見込みであること
・日本語でコミュニケーションがとれること(日本語能力試験N2相当以上)
・満18歳以上であること
・日本式美容の技術・文化を世界へ発信する意思があること

1店舗3人まで。アイラッシュ施術や出張美容も可能

育成機関として認められると、1美容所あたり3人まで育成できる(ただし、育成計画は1人ずつ申請が必要)。

美容室で必要な業務は、一通り行うことができる。具体的には、下記への従事が認められており、外国人美容師によるアイラッシュ施術や出張美容も可能だ。

(1) シャンプー
(2) カット
(3) トリートメント
(4) ブロー
(5) セット・アイロン
(6) カラー
(7) パーマ・縮毛矯正
(8) ヘッドスパ
(9) まつげエクステンション
(10) ネイル
(11) エステティック
(12) 着物着付け
(13) メイク
(14) 洋装ブライダル
(15) 出張美容
(16) 美容所の経営管理に関すること
(17) その他関係自治体が必要と認める業務
(18) その他付随業務

不当な低賃金、単純労働のみは不可

外国人美容師を雇用する美容室は、申請にあたり、育成計画を提出する。

この計画書では、外国人美容師が不当な低賃金で働かされたり、単純労働のみで美容技術を身につけられなかったりしないようチェックされる。

・日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

・「実践的な美容に関する知識及び技能を必要としない業務」「同一の作業の反復のみによって修得できる業務」を目的とする雇用は不可

なお、帰国担保措置として、外国人美容師が帰国旅費をねん出できない場合は、育成機関(美容室)に旅費の負担が求められる。

監理実施機関、育成機関を募集

外国人美容師育成事業は、さまざまな機関がかかわる包括的なプロジェクトとなっている。

外国人美容師の育成事業の制度概要
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外国人美容師を雇う美容室(育成機関)は、監理実施機関に申請が必要。この監理実施機関とは、自治体が認可した非営利の日本法人。各自治体は府省庁と連携する。

今回、実施要領の発表とともに、監理実施機関、育成機関の申請書式も明らかになった。

条件も多く気軽に申請できるものではないが、「育成した外国人美容師が帰国した際には海外支店を任せたい」「元スタッフが母国で開店したら、信頼できるパートナーとして提携したい」「アフターコロナのインバウンド需要を見込んでいる」「日本式美容を世界に広げたい」「海外の美容事情に貢献したい」などのビジョンがあるサロンにとっては、大きな一歩となるかもしれない。

参考:外国人美容師育成事業(内閣府・国家戦略特区)
※上記サイトに実施要領、申請書類が公表されています

取材のお願い
ビュートピア編集部では、外国人美容師を育成するサロンを取材したく思っております。応じていただける場合、育成サロンをご存知の場合は、こちらのフォームからご連絡いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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