資生堂は、“スキンビューティーカンパニー”として事業を再構築しており、この一環でプロフェッショナル事業を売却するに至った。
ただし、完全に手放すわけではなく、資生堂プロフェッショナル株式の20%を引き続き保有する。また、主力ブランドである「資生堂プロフェッショナル(SHISEIDO PROFESSIONAL)」については、ヘンケル社に商標権の使用をライセンスするという形をとる。
なお、「サブリミック(SUBLIMIC)」「プリミエンス(PRIMIENCE)」「クリスタライジング(CRYSTALLIZING)」などのヘアを中心としたブランドはヘンケルに譲渡する。
ヘンケルは1996年に独本社がシュワルツコフを買収、日本では2016年にヘンケル社がシュワルツコフ&ヘンケルを統合しており、美容業界ではシュワルツコフ プロフェッショナル事業のイメージが強い。
資生堂プロフェッショナル中間決算の5カ年推移
プロフェッショナル事業の2021年12月期の業績は、売上高が前年同期比24.4%増(31億円増)の159億円、営業利益は0円だった前年から8億円へと、コロナ禍の打撃から回復している。
資生堂グループ全体における構成比は売上高が1.5%、営業利益が4.6%。構成比としては小さいが、利益率はよい事業というポジションをとっている。
なお、雇用を優先する考えのもと、プロフェッショナル事業に携わる約500人の従業員は、基本的に資生堂プロフェッショナルなど譲渡先の会社に移籍する。
資生堂は2018年にも、海外展開のみだったゾートス社をヘンケルに売却しており、両社の関係はより深まったと見られる。
資生堂は、今後も資生堂プロフェッショナルの成長をサポートする考え。ヘンケル社グループと一体化することで、グローバルレベルの投資機会と事業体制を備え、さらなる成長を目指していく。
なお、プロフェッショナル事業の譲渡に伴い、資生堂の今期決算は特別損益として100億円を見込んでいる。