⑤「真実の瞬間」と「凡事徹底」で現場に落としこむ
ジャパンプロデュースでは、LINE公式アカウントの友だち1万2000人のうち、実に90%以上がLINEミニアプリを利用して予約機能や会員証機能などを利用している。
POSシステム「Salon de Net(サロン ド ネット)」の運営会社であるハイパーソフトによると、「当社顧客サロンの中で、ジャパンプロデュース様はLINEミニアプリの有効会員数1位、有効会員率2位。店舗数やスタッフ数を考慮すると、驚異的な数値の成功サロン」だという。
凡事徹底で着実に結果を出す
Salon de NetのLINEミニアプリを活用する美容室の中でも、なぜジャパンプロデュースはダントツに結果を出せているのか。黒木社長は、その秘訣を次のように語る。
「朝礼で未登録の方がいるかを確認し、カウンセリングの前にまずLINEミニアプリをご案内するよう徹底しています。また、スタッフ全員で毎月の登録状況を共有しているんです」
まさに、凡事徹底。基本的で当たり前だが続けるのは難しいことを徹底して行っている。「LINEの友だちを増やそうと言ったら、スタッフが徹底的にやってくれる。それがうちの風土なのだと思います」
LINEミニアプリご案内の流れ
①朝礼
当日の予約客にLINEミニアプリを使っていない方がいるかを確認。受付担当のアルバイトスタッフらが予約帳に記入する。
②受付
荷物を預かる際、「スマートフォンは席にお持ちください」と伝える。
③カウンセリング
髪について話すよりも先に、まずLINEミニアプリを案内する。「QRコードの入ったPOP」からのアクセスでスムーズに登録をうながす。
④ミーティング
毎月、LINEミニアプリの登録状況を報告。店舗ごとに数字を把握する。
真実の瞬間を逃さない
カウンセリングの最初にLINEミニアプリを紹介するのは、「真実の瞬間」と呼ばれる、“企業のイメージはとても短い時間で決まってしまう”というマーケティング思考からだ。
「カラーの待ち時間といってもスタイリストは別の施術で忙しいですし、施術後のお客さまはもう帰る気分になっています。だからこそ来店してすぐ、『真実の瞬間』に徹底してご案内することが大切です」と、黒木社長は熱を込める。
⑥電子化で数百万のコスト削減
LINEミニアプリ導入後の変化については、コスト削減効果も見逃せない。
ジャパンプロデュースでは、誕生日特典として50%OFFクーポンをプレゼントしている。以前はDMの制作と発送に月間20万円、年間240万円ほどかかっていたが、今はLINE公式アカウントからのメッセージ配信で済むため、コストを大幅に削減できたという。
また、LINEミニアプリの会員証機能を使い、ポイントカードや次回予約カードなどの紙類がいらなくなった分も、経費が浮いたことになる。
「電話での予約対応が減ったり、スタンプを押す手間がなくなったり、スタッフの労力が減ったのもプラスの効果ですね」(黒木社長)
「スマホひとつで済む」はお客さまのメリット
さらに、サロンだけでなく、お客さまのメリットも大きい。
LINEミニアプリなら24時間いつでもオンラインで予約可能。予約の変更も、対面や電話より気を使わないで済む。POSレジと連携しているので、施術料金や店販購入に応じてポイントも貯まる。
1~3カ月に一度使うだけのポイントカード類を財布に入れておく必要がなく、スマホひとつで、いつでもLINEミニアプリのマイページから予約日やポイント残高を確認できる。
お客さまの利便性が向上すれば、自然とリピートにつながりやすく、結果的にサロンのメリットになっている。
⑦顧客との関係深化へ
ジャパンプロデュースは、新年度となる2022年4月から、LINEを通じた顧客とのコミュニケーションに一層力を入れるという。
「本部スタッフに加えて、店を横断して運用担当者を募っています。専門のチームをつくり年間スケジュールを立てて、よりメッセージの配信効果を高めていきます」(黒木社長)
POSシステムと連携することで、お客さまの属性や履歴などに応じて配信リストを抽出し、それぞれに最適なメッセージを配信できる。この強みを活かし、多種多様なプロモーションやマーケティングを展開していく考えだ。
強みのヘッドスパ、春夏秋冬を感じるメッセージ
たとえば、同社が得意とするヘッドスパ。「カミカリスマ2022」の地域を代表するグレイティー インフィニティ賞を、グループの本店であるJAPAN HONTENが、トリートメント技術に優れた店として受賞しているほどだ。ヘアケアに関する情報発信は、戦略的に増やしていくという。
また、梅雨どきに縮毛矯正やスタイリング剤を紹介するなど、季節性のあるメッセージも予定しており、YouTubeやInstagramとの連動も視野に入れている。
「洋服店が春物、冬物と一目で季節がわかるのに対して、美容室という空間は季節を感じにくいですよね。その分、LINEで春夏秋冬を感じるような配信をしていきたいです」(黒木社長)
やはり、LINEの強みは顧客にじかに情報を届けられるコミュニケーション。LINEミニアプリが予約やリマインド、ポイント管理などに役立つのはもちろんのこと、地域密着型サロンがお客さまとの関係を深めるツールとして、ますます欠かせない存在になっていくことになりそうだ。
※文中の数値や価格は取材時のものです
■ 取材協力
■ 提供
LINE株式会社
編集・取材・文/大徳明子