CS-C椙原健社長に聞く、美容業界のデジタルマーケティング課題

特集・インタビュー

⑤紹介を促進する「C-mo Friends」

C-moは随時アップデートされ、新たな機能が生まれている。2022年3月には、LINE公式アカウントと連携した紹介促進機能「C-mo Friends(シーモ フレンズ)」をリリースした。

新規客の来店理由は、知人からの紹介、口コミといった“枝客新規”が非常に多い。利用客が他の友達を紹介・来店するとお互いにクーポンがもらえる仕組みを作ることで、LINEからの新規顧客獲得を促進する機能だ。

「紹介から新規顧客を集めることができれば、新規集客コストという意味合いではかなり効率化されると思います」

「新規来店客は“枝客新規”が非常に多い」

⑥美容業界の課題は「膨大な店舗数」

椙原社長は証券会社に入社後、コンサルティング企業で外食チェーンを担当していた。CS-Cの事業も最初は飲食業界から始まっている。

「ローカルビジネスの中でも、飲食業界がマーケティングで言うと先に進んでるので、独立した後も、まずは飲食業界でノウハウを作りこんで、ほかの業種に展開させていきたいと思ってやっていました」と振り返る。

そしてコロナ禍となり、飲食業界と比べると影響が軽微だった美容業界へのサービス導入を加速させた。

コンサルティング企業で外食チェーンを担当していたという椙原社長

美容業界が抱えるマーケティングの課題は何か。椙原社長は「膨大な店舗数」を挙げる。この業界は店の数が膨大で差別化しづらい。美容室だけでも店舗数は25万軒を超える。

「お店の特徴や独自性を、ブランディングやプロモーションで消費者にちゃんと伝えることができれば、安いところに流れるという現象は避けられる」と話す。

「ブランディングやプロモーションで消費者にちゃんと伝えることが大事」

また、「新規集客とリピート客で分けた時に、美容業界はポータルサイト以外の集客導線があまりない」と指摘する。

「ポータルサイトをメインで使いながら、加えてSNSやオウンドメディア、もしくはGoogleやGoogleマップで集客動線をていねいにつくっていくことが大切だと思います」

⑦原点は地元のシャッター街、「3・11」をきっかけに起業

世界約100カ国で従業員意識調査を行うGPTWから「日本における働きがいのある会社」の認定を受けた

椙原社長がローカルビジネスに軸足を置いたのは、出身地の福島県南相馬市での原体験があるという。物心ついた時には「シャッター街」と化していた地元の商店街に、寂しさを感じていた。

「ローカルビジネスは、日々の潤いを与える、消費者に幸せを提供する仕事だと思っています。美味しいご飯や、髪をきれいにすることって潤いですよね。ローカルビジネスを活性化できれば、商店街、地域、結果的に日本経済を活性化できるという思いで始めました」

CS-Cが大切にしている理念の一つにビジネスと社会貢献が両立する「公益資本主義」がある。

椙原社長が起業を決意したきっかけが、2011年の東日本大震災だった。

34歳だった発生当時は東京で一人暮らしをしていた。福島第一原発の事故もあり、実家に駆けつけようとするも家族から「来るな」と言われ、テレビで状況を見ていることしかできなかった。

有名企業の経営者が私財を投げ打って被災者支援を行う中、「何もできない自分に絶望感を感じて、今後同じようなことが起こった時に、今度は自分の力で周りを守れるような状態を作りたいという思い、震災が起きてから1週間以内に今の経営理念を作りました」と振り返る。

⑧「10年かけてシェア2割」を目指す

上場の鐘を鳴らした木槌を手に

2021年に念願の上場を果たし、「10年をかけて、ローカルビジネス130万店舗うちの2割のシェアを取りたい」と意気込む。

美容業界や飲食以外にも、旅行やホテルなどのトラベル業界でもサービスを展開していくという。デジタルマーケティングの需要を見込み、売上も取引店舗数もさらに伸ばし、今後も美容業界とともにさらなる成長を目指す。

椙原 健

株式会社CS-C 代表取締役社長

SUGINOHARA TAKESHI/1976年生まれ、福島県出身。大学卒業後、証券会社に入社。その後、コンサルティングファームを経て、2011年10月に株式会社CS-Cを設立。「働きがいのある会社ランキング ベストカンパニー」6年連続受賞、「ベストベンチャー100」6年連続受賞、「2019年注目企業30(経済界主催)」選定。2021年12月にマザーズ市場(現・東証グロース)へ新規上場。

KINUJO-プロシリーズ-バナー広告
AD(KINUJO)

関連キーワード

注目キーワード

新着記事一覧   トップページ  
Top