日韓関係を巡るさまざまな問題 宮原健太の週刊タイパニュース(6)

特集・インタビュー
日韓関係を巡るさまざまな問題 宮原健太の週刊タイパニュース(6)

日韓関係が改善してきている背景に何があるのか。前回の記事「日韓関係と韓国の政治勢力」では、韓国で政権交代が起きたことで親日的になったことを解説しました。

今回はニュースでもよく聞く、日本と韓国の間にある問題について触れていきます。

週刊タイパニュース」の連載第6回では慰安婦問題と徴用工問題について取り上げます。

慰安婦問題と徴用工問題

こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。

日本と韓国の間にある問題と言えば、慰安婦問題徴用工問題、こちらについてニュースで聞くことが多いのではないでしょうか。

どちらも戦時中に由来している問題で、慰安婦は慰安所というところで日本兵の性の相手をする女性、徴用工は日本の工場や炭鉱に労働力として動員された人を指します。

強制性はあったのか?

この問題でよく取り上げられるのが「強制性」です。

慰安婦問題について日本政府は、女性を連れ去るような「強制連行」を示すような資料は見つかっていないとしていますが、1993年に河野洋平官房長官が発表した談話では「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」という見解を示しており、今の日本政府もこの談話を継承しています。

また、徴用工問題については、強制的に動員して働かせる国民徴用令に基づいて連れてこられた人もいるとされています。

慰安婦や徴用工にどのくらいの強制性があったかについては様々な議論がありますが、戦時中の特殊環境下で意に反して働かされた人は一定数いたと見られています。

賠償を巡る日本政府の立場

そして、次に取り上げられるのが「賠償」についてです。

日本政府の立場としては、1965年に日本と韓国の間で結ばれた日韓請求権協定において、賠償を巡る問題は全て解決されたとしています。

日韓請求権協定とは、日本と韓国が国交を正常化する際に、日本から3億ドルの無償の、2億ドルの有償の経済協力をするかわりに、戦時中も含めた日韓の財産や請求権の問題について「完全かつ最終的に解決された」とするものです。

納得できない元慰安婦や元徴用工も

ただ、実際に慰安婦や徴用工だった人たちからは日本政府や日本企業に対して賠償を求める裁判が起きてしまいました。

こうした事態を受けて、慰安婦問題では1995年にはアジア女性基金、2016年には和解・癒やし財団というものが設立され、元慰安婦への支援事業などが行われました。

徴用工問題では今年、日本企業に命じられた賠償金の支払いを、韓国の財団が肩代わりすることが韓国政府から発表されています。

しかし、一部の慰安婦や徴用工からはこういった対応に納得していない声も出ているのです。

慰安婦問題と徴用工問題の強制性や賠償、支援について

問題が再び紛糾する可能性も

このように、日本と韓国の国家間の約束と、一部の被害者が起こした裁判の間にはズレが生じてしまっているところがあります。

前回解説した通り、今の尹錫悦政権は親日的なので、これらの問題が日韓関係を妨げないように配慮していますが、政権交代が起きたら、再び問題が紛糾する可能性もあるのです。

こうした問題も、日韓関係を難しくしている1つの要因であると言えるでしょう。

次回は国際情勢における韓国について解説していきたいと思います。

ぜひ、お楽しみに!

宮原健太(フリージャーナリスト・記者YouTuber)

宮原 健太

ジャーナリスト、YouTuber

1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。​

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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)

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