ヘアカラーのパッチテストを簡単・便利に!美容師が開発した通気性のあるフタ付きツール

プロダクト・技術
ヘアカラーのパッチテストを簡単・便利に!美容師が開発した通気性のあるフタ付きツール

義務でありながら徹底されているとは言いがたい、ヘアカラー施術前のパッチテスト。

そこで、ハードルの高いパッチテストが簡単・便利になるツールとして、通気性のあるフタと医療テープを使用した「パッチテストツールPRO」が発売されました。

発売元の株式会社イデアグロウは、美容師歴26年の山田鐘徳氏がこの商品を開発するために立ち上げた会社です。パッチテストの必要性や商品特徴について、山田社長のお話も交えてご紹介します。

ヘアカラーのパッチテストはオープン式&48時間経過観察&毎回実施

ヘアカラーのパッチテストは義務ですが、実際はハードルが高いものになっています。

パッチテスト(皮膚貼付試験)には、皮膚に被験物質を塗った後で上から覆うクローズド式、覆わないオープン式があります。ヘアカラーのパッチテストはオープンテストなので、ヘアカラーを塗った部位を絆創膏やガーゼなどでふさいではいけません。

「パッチテストツールPRO」の通気性

ヘアカラーのパッチテストはオープン式のため「パッチテストツールPRO」は穴をたくさん空けて通気性を確保している

さらに「テスト液を塗った直後から30分程度の間及び48時間後の観察が必要」とされているため、ヘアカラー施術の2日前にパッチテストを行い、30分後、48時間経過後の2回観察することになります。

しかも、このパッチテストは、過去に何回も異常なくヘアカラーをしてきた人でも、毎回行うことになっています。

体質が変わったり、継続的に行っているうちにアレルギー性接触皮膚炎になったり、アレルギーはある日突然起こります。

このような理由があるとはいえ、ヘアカラーをするたびに毎回、48時間前から、オープンな状態で行うという厳しい条件が、義務でありながらパッチテストが徹底されない理由になっていそうです。

※パッチテストを実施して結果を判断するのは、ヘアカラー施術を受ける本人、お客さまです。理美容師が「アレルギーは無いですね」などと判断すると医療行為に当たり医師法に抵触しますのでご注意ください

ヘアカラーによる皮膚障害は年間200件

毛染めによる皮膚障害の事例

今から4年前、2015年10月23日付で「染毛剤、脱色剤及び脱染剤の使用上の注意について」(薬生安発1023第1号厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長通知)が通知されました。

パッチテストが義務づけられた背景には「消費者庁の事故情報データバンクに、毛染めによる皮膚障害の事例が毎年200件程度登録されており、その原因は明らかであるにもかかわらず継続的に発生している状況にあることから、消費者安全調査委員会は毛染めによる皮膚障害の重篤化防止策が必要であると判断」されたことがあります。

ご参考毛染めによる皮膚障害(厚労省)

この200件は、理美容室の施術とホームヘアカラーどちらも含まれます。

美容室が約25万軒、理容室が約12万軒で合わせて37万軒超、さらにホームヘアカラーの市場規模を考えると、年間200件は割合としてはとても小さく感じるかもしれませんが、アレルギーは重篤化やアナフィラキシーショックを引き起こす恐れもあるため甘く見るのは禁物です。

関連記事美容室の店舗数が初の25万軒超え

「染毛剤、脱色剤及び脱染剤の使用上の注意について」の課長通知を受け、日本ヘアカラー工業会の加盟各社では、ヘアカラー剤を使用するリスクやパッチテストの必要性を製品正面に記載するようになりました。

このあたりの経緯とパッチテストの手順は、日本ヘアカラー工業会のホームページで詳しく紹介されています。

また「理美容師の皆さまへ」のページでは、理美容師さんからお客さまにヘアカラーのリスクとパッチテストの必要性を説明してほしいとのお願いが書かれています。

パッチテストの手順(動画・テキスト)

理美容師の皆さまへ

パッチテストツールをつくるために会社を設立

パッチテストツールをつくったイデアグロウ

株式会社イデアグロウの設立は、2018年5月。今回の「パッチテストツールPRO」が第1号商品です。

山田社長によると「ヘアカラーのパッチテストのためのツールが無かったので、これをつくるために会社をつくった。もし、良いツールがすでにあれば創業していなかった」とのこと。

美容師歴26年で自身のサロンも経営する山田社長が「構想から3年半かけて開発した」という想いのこもった商品です。

「パッチテストツールPRO」の特徴

「パッチテストツールPRO」は、肌に負担のかからない医療用テープを採用しており、フタ付きのため衣服を汚さず、テスト部分を保護するのが特徴。商標登録・特許出願済みとのことです。

ヘアカラーのパッチテストの緊急イジェクト機能

異常を感じた時は、フタを開けて確認できる

「パッチテストツールPRO」の主な特徴は、次の通りです。

①衣服との接触をガード
フタ付きのため、衣服との接触をガード。テスト液が誤って服に付着して落ちなくなるという失敗を防ぐ

②テスト部位をプレ観察
本体部の透明度が高いため、いつでも、テスト部位の肌の色味を視認できる

③緊急イジェクト機能
異常を感じた時は、フタを開けてテスト部分がどうなっているか直接確認できる

④摩擦や刺激からプロテクト
フタ付きのため、摩擦や刺激等から守りながらテストできる

⑤医療用テープを採用
長時間使用するための固定力、テープをはがす際の皮膚への負担などに考慮し、医療品メーカーのテープを採用している

理美容室、一般生活者双方へ販売

「パッチテストツールPRO」

「パッチテストツールPRO」は商品名にPROと入っていますが、理美容室、一般生活者双方への販売を行います。理美容室が購入する場合は、お客さまに無料配布しても、お客さまに販売しても良いとのこと。

10個で2000円と安くはないかもしれませんが「カラーリング剤による皮膚トラブルを事前に防止でき、お客さまとの信頼関係づくりや満足度アップを実現する新しい商品」(イデアグロウ)として、検討されてはいかがでしょうか。

パッチテストツールPRO
▽10個入・2000円(税別)
▽税別1万円以上の購入で送料無料
▽URL=https://ideagrow.co.jp/patchtest/

ご参考:消費者庁の記者会見

2015年10月23日付で、厚生労働省より「染毛剤、脱色剤及び脱染剤の使用上の注意について」の課長通知が出ましたが、この翌日、消費者庁が記者会見を開いています。

この時の議事録が公開されていますので、ご参考までに。質疑応答のあたりなど、美容業界の方は違和感を覚えるかもしれません。

美容業界はロビー活動が強くないこともあり、当事者なのに決定後の通知だけが来る感がありますね。

ご参考消費者庁記者会見(平成26年10月24日)
※2014年以前の報道資料が消費者庁HPから削除されたため、リンク先を「毛染めによる皮膚障害」(消費者庁)に変更しました(2020.11.11)

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