暴行罪と傷害罪の違い
刑事事件では、ぶつかられただけであれば、警察は「暴行罪」で処理します。
ぶつかられて「けがをした」場合は、診断書を警察に提出すると、警察は「暴行罪」を「傷害罪」にランクアップしてくれるんです。
逆に、診断書を提出しなければ、どんなに怪我をしていたとしても「暴行罪」どまりです。

ちなみに、刑法の「傷害」は「生理的機能に障害を起こすこと」をいいます。
例えば、キスマークをつけると肌が赤くなりますが、これも立派な生理的機能の障害ですので理論的には「傷害罪」です。
被害届を出す人はほとんどいないですけど(笑)
ぶつかられやすい人の特徴とは?
ぶつかりおじさんは「相手を選ぶ」のです。
狙われやすいのは
・歩きスマホの人
・遠慮がちに歩いている人
・若い女性や学生で控えめそうな人
・身体が小さい人
です。
つまり、「文句を言ってこなさそうな人」がターゲット。
痴漢がターゲットを探すときも「声を上げなさそうな人」を探すのに似てますね。
対処法はあるの?
感情的にはならず、戦略的にいきましょう。
①その場から離れる(身の安全最優先)
相手が危険人物だった場合、何をされるかわかりません。
君子危うきに近寄らず。怪我をしていないなら逃げましょう。
②証拠を残す(録画・防犯カメラ)
スマホで動画を撮る、駅であれば防犯カメラの位置を確認します。
駅構内に「防犯カメラ」はたくさんあるんです。
警察を通じて鉄道会社にカメラの開示を求めるのは「あり寄りのあり」です。
ただ、防犯カメラの保存期間は超短いので早めの対応が命です!(短いと数日、長くても1週間なんてことも…)

③ぶつかりかえす
これは「やったらダメなやつ」です。あなたも暴行罪・傷害罪になってしまいます。
「自力救済は禁止」なんです。
おわりに
結局「ぶつかられない努力」が一番大事です。
ぶつかった時点でトラブルに巻き込まれたことになるので「半分負け」のようなものです。
でももし、ぶつかられたら、冷静にこう言ってやりましょう。
「あなた、刑法208条の暴行罪です」ってね。
それではまた来週。

松本 隆
弁護士/横浜二幸法律事務所・パートナー
早稲田大学法学部、慶応義塾大学法科大学院卒業。2012年弁護士登録(神奈川県弁護士会)。企業に寄り添う弁護士として労働問題を多く扱っており、交通事故や相続にも精通している。また、美容師養成専門学校において「美容師法」の講義を担当しており、美容業界にも身を置いている。社交ダンスの経験も豊富であり、メイクやヘアスタイルにも詳しい。2021年にはメンズ美容のモニターとして100日間チャレンジを行うなど、メンズ美容の重要性も説いている。「髪も肌もボディもケアさえちゃんとすればアンチエイジングは必ずできる」というのがモットー。
横浜二幸法律事務所
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▽TEL=045-651-5115
監修・執筆・イラスト/松本隆(弁護士)
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