20代女性のサロン定着には? 美容室で困ったこと・嬉しかったこと 

経営・業界動向

サロンの中心顧客層である20代。でも「ニーズをとらえづらい」「定着率が悪い」などの課題を感じていませんか?

今回は「美容センサス2020年上期」と「若年層美容に関する世代比較調査」(ホットペッパービューティーアカデミー)より、20代の美容意識・行動からサロン定着のヒントをご紹介します。

 

文・作表 田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)

20代女性のサロン定着には? 美容室で困ったこと・嬉しかったこと 

美容室での「カラー」利用は過去5年で最高

美容室での「カラー」利用は過去最高

2020年2月に実施した調査では、20代の過去1年間の美容室での「カラー」利用率は64.0%。過去5年間で最高値を更新しました。

若年層では、ここ数年でハイトーンカラーがブーム。「ホットペッパービューティー」の「フリーワード検索(アプリ)」でも20代の検索ワードの上位に、「インナーカラー」「ダブルカラー」「ブリーチ」など「カラー」に関する施術が入っています。

特にハイトーンカラーは「このサロンだからこそ」の技術も多いでしょう。「ブリーチ・ハイライト」はコロナ禍でも、「自宅への切り替え意向」がほぼなかった技術です。高いカラー技術は、20代のサロン定着のひとつと言えるでしょう。

②「パーマ」減少、自宅での「ヘアアイロン、コテ」利用は増加

「パーマ」は減少傾向、自宅での「ヘアアイロン、コテ」利用は増加

同じく過去1年間の美容室での「パーマ」と、自宅での「ヘアアイロン・コテ」の利用率を比べてみましょう。

「パーマ」の利用率は、2018年以降減少傾向。一方、自宅での「ヘアアイロン・コテ」利用率は過去5年間で上昇傾向。20代女性の6割が利用しています。

美容機器の高度化が進み、コロナ禍でも、「巣ごもり」需要で美容機器の売上は好調です。また、SNSで様々な美容の情報を誰でも入手できるようになっています。

Withコロナの中で、サロンは「プロならではの技術・提案」をより強く意識する必要があるのではないでしょうか。

美容の相談相手は「美容サロンのスタッフ」

美容の相談相手は「美容サロンのスタッフ」

次のデータは「20代が美容(髪型・顔・体型など)に関して相談する相手」。1位は「美容サロンのスタッフ」でした。20代にとって、美容師さんは「美容全般のプロ」。

SNSで美容の情報は大量に手に入りますが、「自分に向けて」のものではありません。一方、美容師さんは「定期的に会い、リアルな自分を知ってくれている」中で「自分に似合う」美容のアドバイスや提案をくれる貴重な存在なのです。

一方で、「実際に相談している」が「相談したい」よりも10ポイント以上下回っています。「相談したいけれど、できていない」という20代は多く、まだまだサロン側でニーズが拾えていないのではないかと思います。

逆に言うと、「美容のことを何でも相談できる美容師さん」という関係値を20代と築けたならば、他との差別化できる強みになるでしょう。

美容室で「困ったこと」は「伝え方が分からない」「不満点を伝えられない」

美容室で「困ったこと」は「伝え方が分からない」「不満点を伝えられない」

美容室で「自分では出来なくて/言えなくて」困ったことの1位は「ヘアカタログやカラー見本を渡されたが、選ぶのが難しかった/選べなかった」。20代は、30代、40代と比べても美容感度が高く、髪型やカラーのトレンドも知識・情報量が豊富ですが、「自分にとって何が似合うのか」に対しては分からない人も多いということでしょう

2位の「なりたいヘアスタイルはあったが、伝え方が分からなかった/恥ずかしくて言えなかった」についても、「伝え方が分からない」という悩みは1位と共通しますね。

30代、40代の女性と違い、20代は美容室での「失敗」の経験も「成功」の経験も少ないのです。なので「こういうことはしてほしくない」「こういう伝え方をするとうまくいく」という経験値が浅いことも背景にありそうです。

また5位の「施術後の確認で、不満点を担当に伝えられなかった」は、20代女性へのグループインタビューでも「美容師さんはプロ」「プロに対して不満を言うのは失礼」という声がありました。「角を立てるくらいならば」と、「不満を言わずにサロンを去っていく」につながっているように感じます。

「言えない」「分からない」20代から悩みを引き出してあげること、「小さな不満のポイント」を見逃さないことが重要です。

美容室で「嬉しかったこと」は「自分のことを覚えていてくれた」

美容室で「嬉しかったこと」の1位は「自分のことを覚えていてくれた」

美容室で「ちょっと良かったこと/嬉しかったこと」の1位は「スタッフが自分のことを覚えていてくれた」。

5位の「前回の施術内容を覚えていてくれた」にも共通しますが、20代が「嬉しいな」と感じるのは、実は「ちょっとした」お声がけであったり、お客さまのサインを「察する」気遣いだったりするのです

また、コロナ禍では、なかなか行きたいときにサロンに行けないお客さまも多いので、自宅でのケアや、ヘアアレンジなどをちょっとアドバイスするだけでも「特別なことをしてくれた」と気分を上げられるのではないでしょうか。

コロナ後のリピートポイントの鍵は?

サロンの定着はこういった小さな「嬉しいこと」の積み重ねでつながっていきます。「嬉しいこと」があれば「また次も行こう」となり、その積み上げがリピーターとなり、ロイヤルカスタマーにつながります。

20代は周りの空気を読みすぎて、なかなか対面ではっきりと自分の思いを伝えづらい傾向にあります。ですので、予約の際の要望などで「事前に要望を書いてもらう」「施術後の口コミにはしっかりと向き合う」ことも効果的でしょう。

20代の女性にとって、美容室は「自分をキレイにしてくれる」「キレイになってテンションをあげられる」「美容のトレンドをキャッチできる」場所です。「コロナ禍で美容意識も下がった」と感じている20代も多いでしょう。

だからこそ、せっかく来ていただいた際には、「美容意識の高まる空間での接客」で、「悩みを引き出すカウンセリング」と「プロならではの技術と提案」でもっともっとキレイな自分を好きになって、サロンへ愛着を持っていただけると嬉しいですね。

 

田中 公子

ホットペッパービューティーアカデミー研究員

TANAKA KIMIKO/ホットペッパービューティーアカデミーの調査研究員として、2012年から活動。「美容センサス」をはじめとするカスタマーの美容サロンに対する利用行動・意識調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・TVなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。

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データ出典
「美容センサス2020年上期<資料編>」
〇ホットペッパービューティーアカデミー(2020年6月発表)
〇調査期間:2020年2月14日~ 2月25日
https://bit.ly/3dEeN0W

「若年層美容に関する世代比較調査」
〇ホットペッパービューティーアカデミー(2021年1月発表)
〇調査期間:2019年3月25日~27日
https://bit.ly/2MjlOce

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