消費税減税には財源が足りない!? 宮原健太の週刊タイパニュース(80)

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消費税減税には財源が足りない!? 宮原健太の週刊タイパニュース(80)

物価高に対する打開策として話題になっている消費税減税

しかし、政府与党からは減税をするだけの財源がないとの声も出てきています。

今回の「週刊タイパニュース」では、消費税減税について引き続き解説します。

財源がないから減税はできない?

こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。

前回は、消費税減税による経済効果について解説しました。

消費税は負担割合は低所得者のほうが高いけれど、負担額は高所得者のほうが多いということでしたね。

単純に減税をしてしまうと高所得者のほうが恩恵が多くなってしまうため、食料品に限る案なども出ていました。

しかし、政府与党からは減税をするだけの財源がないという声が出ています。

消費税減税にはどのくらいお金がかかるのか

財源がないというのは、日本は少子高齢化で社会保障にお金がたくさんかかるため、減税をして税収を下げる余裕がないということです。

例えば、食料品などにかかっている軽減税率8%を非課税にすると、税収は4~5兆円減ると考えられます。

今年度の政府の予算案の総額は約115兆円なので、国家予算の約4%にあたる税収が吹っ飛んでしまうことになるわけです。

財源は気にしなくて良い?

一方で、一部の野党の中には財源を気にする必要はないという意見もあります。

なぜなら、日本の借金である国債の残高は1074兆5625億円となっていますが、その半分以上の559兆2998億円を日本銀行が保有しているからです。(2024年12月末現在)

政府が借金をしたとしても、日銀が買い取ってくれるため、財源を気にする必要はないということですね。(正確には日銀は政府から直接国債を買うことはできず、金融市場から買い取っています)

消費税減税のために赤字国債を発行すると、さらなる円安物価高を生む可能性も

赤字国債の発行は円安物価高を誘発する!?

しかし、この指摘は実は不正確です。

なぜなら、日銀がたくさん国債を買い取ると、それによって市場に出回る日本円の総量が増えるため、円の価値が下がって円安が進んでしまいます

円安になると輸入したモノの値段が上がってしまうため、さらに物価高が進んでしまうのです。

そうなると、国が借金をして減税をしても、更なる物価高で打ち消されて意味がなくなってしまいます。

そのため、野党からは借金をしない、無駄遣いを削減することによって消費税減税の財源を確保する案も挙がっているのですが、まだ具体化はしていません。

そのような中で、いまも消費税減税については与野党の争点となっているのです。

次回はまた別のニュースについて解説します!

ぜひ、お楽しみに!

宮原健太(フリージャーナリスト・記者YouTuber)

宮原 健太

ジャーナリスト、YouTuber

1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。​

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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)

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