
7月の総会で新会長に就任した小林一俊氏(コーセー社長)
健全で継続的な経済成長のために輸出拡大を目指している化粧品業界。
日本化粧品工業会(粧工会、JCIA)は2025年10月6日、東京・神谷町の粧工会会議室で業界専門紙と懇談会を開き、活動紹介と意見交換を行った。
増え続ける輸入、来年は日本で規制の国際会議も
当日は、7月の総会で新会長に就任した小林一俊氏(コーセー社長)、産業政策委員会委員長の岩渕高宏氏(資生堂)、広報委員会委員長の原谷美典氏(コーセー)、専務執行理事の山本順二氏が出席。
小林会長は、輸出が伸び悩む一方で輸入は増え続けているという現状を指摘。さまざまな課題がある中、「日本化粧品工業会ビジョン2030」に基づき、ひとつずつ丁寧に向き合っていくと述べた。
また、来年7月の化粧品規制協力国際会議(ICCR)は東京で開催されることを紹介。日本が議長国となるのは3回目で、ICCR12以来の8年ぶりとなる。
小林会長は「20周年の節目となる会。各国の課題を総括して議論する。化粧品産業がウェルビーイングの実現に貢献し、社会に不可欠であることを内外にアピールする機会にしたい」と抱負を述べた。

輸出支援の充実へ、J-Beauty推進部会発足
続いて、産業政策委員会の活動を岩渕委員長が報告。会員企業の輸出状況に関するアンケート結果として、回答した506社の4割に当たる201社が輸出をしておらず、その半数が「今後も輸出を検討する予定はない」としていることを紹介した。その一方、全体の6割が、海外メーカーの進出に危機感を覚えている。
輸出には規制が多く各社では対応が難しいことも多いため、粧工会ではこれを支援するJ-Beauty推進部会を今年1月に立ち上げた。
内閣府知的財産戦略本部の「令和6年新たなクールジャパン戦略」では、2023年に19.1兆円だったクールジャパン関連産業を2033年には2.6倍の50兆円に成長させるという目標を打ち出している。粧工会もこれにならい、2022年の0.8兆円から2033年に2兆円とすることをKPIとした。
日本最大の化粧品産業団体として、輸出支援の充実を図り、国際競争力を高めていく構えだ。

取材・文・撮影/大徳明子

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