「美容師にならない新人」が増えている? 美容サロン就業実態調査2025から読み解く、“入り口”と“定着”の課題

特集・インタビュー

④一度離職しても「戻ってくる」美容師が増加中

ホットペッパービューティーアカデミー、データから読み解く美容サロンの“入り口”と“定着”の課題
※「辞めた/離れた」とは、美容師を辞めて無職になった場合や、異なる職業に転職した場合を指す。美容師の職業を変えずに別の店(会社)に転職した場合や、産前・産後休暇や育児休暇を取得して、一時的に仕事を休んでいた場合は含まない。出典:ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査(2025年)」

2025年現在、現役美容師のうち44.3%が「離職経験あり」と回答し、過去から増加傾向にあります。

これは、美容師として一度現場を離れても、再び戻ってくるケースが多いということ。

働き方の多様化やライフイベントへの理解が広がる中で、「土曜または日曜が休み」「営業時間は18時まで」など、勤務体系を整えるサロンも増えてきており、復職を支えています。

人材不足が慢性的な課題である美容業界では「休眠美容師」(美容師免許を持っているが、現在は美容師として就業していない人)の活躍も大きな解決策として期待が寄せられています。

⑤美容師の仕事観にも変化。「自分らしく働く」がカギに

ホットペッパービューティーアカデミー、データから読み解く美容サロンの“入り口”と“定着”の課題
出典:ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン就業実態調査(2025年)」

美容師が「働く上で重要だと思うこと」として挙げた項目では、「休日日数」(44.5%)、「仕事とプライベートの両立」(42.0%)が2年連続で増加しています。

これは「給与」や「立地」だけではなく、“自分らしく働き続けられるかどうか”も加えられているのかもしれません。

サロン側には、働く時間や休日の見直し、柔軟な働き方ができる制度の導入などが、今後ますます求められていくでしょう。

⑥まとめ:育成と働き方、両面からの支援がカギ

今回の調査から見えるのは、美容業界における「入り口」と「定着」の両方に課題とチャンスがあるということです。

育成では技術に加え、経営や数字の知識を育てる視点が重要。働き方では柔軟性やライフバランスを尊重する仕組みが求められています。

慢性的な人手不足が課題の美容業界としては、「働き続けたい」と思える環境をつくり続けることが、サロンの持続的な成長につながるのではないでしょうか。

■ データ出典

ホットペッパービューティーアカデミー

>> 美容サロン就業実態調査(2025年)

■調査期間

2025年1月~2月

■調査対象

<スクリーニング調査>15歳以上2万295人

<本調査>美容サロン従事者3,243人(美容師:1,089人/理容師:536人/ネイリスト:211人/エステティシャン:500人/リラクゼーションセラピスト:786人/まつげエクステスタッフ:121人)

ホットペッパービューティーアカデミー研究 田中 公子さん

中 公子

ホットペッパービューティーアカデミー研究員

たなか きみこ/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとする美容サロン利用調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。

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