
弁護士の松本隆さんによる連載『ヘアサロン六法』。
第64回は直近のニュースにあった、外国人によるサロンの無免許営業を取り上げます。
美容専門学校で美容師法の講義を担当している松本さんが、軽妙なトークとイラストでとことんわかりやすく解説します!
目次
「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく!」

こんにちは!弁護士の松本隆です。
この連載では「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく」をモットーに、あえて内容をシンプルにしてお送りしています。
ここ最近のニュースを弁護士が好き勝手いじってみます!
たまには時事問題も取り上げてもいいのかなと思い、今回はニュースを取り上げます。
どうせ弁護士の私が書きますので、法律の観点からズバズバいじります。真面目だけじゃ眠くなりますからね!
「外国人による無免許営業事件」
令和7年7月3日のニュース
・名古屋市で、美容師免許なしで美容院を営業していたベトナム人3人が逮捕
・容疑は2025年4月に名古屋市のビルの一室で無免許でカットをしたというもの
・2023年2月ころからベトナム人、フィリピン人などに向けて営業。客はなんと1日30人ほど
・しかも美容学校として「生徒」まで募集していたらしい
1日30人…結構繁盛してますね。
客単価が5000円なら15万円、月20日営業したら月商300万円…。
あれ、下手したら近所のちゃんと許可取ってやってる美容室より全然儲かってるかも…?
「あんなに苦労して資格を取ったのに無免許のサロンが売上をかっさらうなんて冗談じゃない!」と思う美容師さん、全国に5万人くらいいらっしゃいますね、きっと。
しかも美容学校まで開いているとなると、違法な美容師を量産する体制までできていたということですよね…(怖っ)

外国人の美容師が少ない理由
外国人が日本で美容師免許を取るのが超ハードモード(難しい)なのはみなさんご存知ですよね。
日本の美容師は国家資格ですが、資格を取るためには、美容学校を卒業して国家試験に合格する必要があります。
外国人の方にとって難しい理由は
・試験が全て日本語で漢字もバンバン出るのでとっても大変
・美容専門学校の学費は200~300万円
・そもそも在留資格が取れない、などです。
こんなんハードル高すぎて「もう勝手にやっちゃえ!」っていう外国人が出てくるのも…まあわからなくはないです。でもダメなものはダメ(違法)です。

多少の規制緩和はあったけれど…
最近は「国家戦略特区外国人美容師育成事業」なんてカッコイイ名前の制度ができて、日本の美容専門学校を卒業して免許を取った外国人に「最大5年の特定活動のビザ」がもらえるようになりました。
これにより、少しずつですが、外国人美容師が現場で活躍し始めています。
でもこれ、東京、大阪、京都などの一部の地域限定だし、手続も超大変なんです。
そりゃ、「手っ取り早く稼ぎたい」って外国人は無免許で「ヤミ営業」に突っ走りますよね。
