④店販購入率は低下、一方単価は2万円超に

脱毛メニュー利用者の店販購入率は、女性で16.3%と前年差で5.9ポイント減少。一方で、年間購入額は平均2万676円と、前年比+21.6%という結果になりました。
店販を「ついでに買う」フェーズは終わり、「これは必要だ」と感じた人が高単価商品を購入していたり、継続的に商品を購入しているということでしょう。いま求められるのは、“選ばれる商品を丁寧に届ける”提案力と言えます。
⑤男性利用率が女性を初めて上回る時代へ

2025年の調査で、1年以内の脱毛サロン利用率が初めて男性の方が高くなりました(男性5.6%、女性5.2%)。
女性の利用率が減少する一方で、男性は着実にニーズを伸ばし、脱毛が「男性にとっても身近な美容習慣」として根づきつつあることがうかがえます。
もちろん、今後男性市場にも医療脱毛やセルフ脱毛といった新たな選択肢が広がる可能性はありますが、その中で「エステ脱毛」の優位性(痛みの少なさ、丁寧な接客、リラックス空間)は差別化の強みになり得るでしょう。
⑥脱毛市場を読み解く“3つの消費行動”
今回の調査から見えてきたのは、縮小傾向の中でも変化し続ける消費者の動きです。
【1】来店回数は減少傾向にある一方で、1回あたりの効果や満足度を重視する人が増えている
「何度も通う」よりも「1回で実感できる施術」に価値を置く層が拡大しています。
【2】顔脱毛の利用率が上昇し、“顔まわりの美しさ”への関心が高まっている
女性では「顔」の施術率が前年の9位から6位に上昇(19.2%→22.7%)。
データからは顔脱毛への関心の高まりが読み取れ、背景には眉やまつ毛メニューの人気など、顔全体を美しく見せたいという意識があると考えられます。
【3】男性では、顔まわりに限らずワキやボディパーツにも施術ニーズが広がり、女性を上回る利用率に
2025年は男性のサロン利用率(5.6%)が初めて女性(5.2%)を上回りました。
脱毛サロンにおいて、男性の存在感が増しています。施術部位も「ひげ」だけでなく「ワキ」「Iライン」「ヒジ下」などへ広がっており、男性の美容意識が着実に拡大しています。
市場全体は縮小傾向にあるものの、こうした消費行動の変化が示すのは「脱毛=不要になったサービス」ではなく、「より選択的に利用されるサービス」へと移り変わっているということです。
今後も消費者の価値観の変化に沿って、市場は形を変えながら続いていくと考えられます。
■ データ出典
ホットペッパービューティーアカデミー
■ 調査期間
2025年1月27日~2月12日
■ 調査対象
全国、人口20万人以上の都市に居住する15~69歳の男女各6600人
※市場規模推計の値は小数第1位を四捨五入しているため、差分や合計値において、単純計算した数値と合致しない場合があります。

田中 公子
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
TANAKA KIMIKO/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとする美容サロン利用調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。
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