【サロン六法】69.顧客名簿はお宝?元スタッフがスマホにコピーしたらどうすればいい!?~秘密保持義務と顧客情報流出リスク~

特集・インタビュー

裁判所の結論

裁判所は

元スタッフYは、退職後も顧客情報を使ってはいけない

神奈川・東京で2年間、顧客への営業活動は禁止

顧客情報の第三者への開示も禁止

と判断をしました。

つまり、「顧客情報を持っていてもそれを使って営業したらダメ!」ということです。

ちなみに、「仮処分」は相手に知られないようにこっそり行うすごい手続なのですが、みなさんは知らないタイプの裁判だと思います。

(仮処分をテーマに今度記事を書きますね!)

サロンオーナーへの教訓

今回のケースから学べることは2つです。

教訓1:誓約書は必須!!

スタッフを雇用するときは、

「退職後も守らせる秘密保持特約」(誓約書)をきちんと作りましょう。

「口約束」は裁判では超弱いです。

「口約束=約束していないのと同じ」だと思って下さい。

誓約書は弁護士さんと相談してサロンに合ったものをしっかり作るのが一番です。

(え?宣伝してるのって?たまにはお許しを)

教訓2:情報管理ルールの徹底を!!

顧客データはパスワードで管理する、個人スマホへのコピーを禁止する、情報秘密保持手当を設定するなどがよいです。

秘密保持義務と顧客情報流出のリスクにまつわる法律知識。弁護士が解説する連載「サロン六法」、美容室の法律。

さいごに

顧客情報はサロンの資産、いや命と言っても過言ではありません。

元スタッフにとっては「次のお客さんリスト」かもしれませんが、サロンにとっては何年もかけて作り上げた努力の結晶

今回の裁判は「誓約書+秘密保持手当+情報管理」という3点セットが有効に機能した好例でした。

オーナーのみなさん、「うちは家族みたいなチームだから大丈夫♪」なんて油断は禁物ですからね!

この記事を見て少しでも危機意識が強くなっていただければありがたいです。

それではまた来週。

松本隆弁護士( 横浜二幸法律事務所)

松本 隆

弁護士/横浜二幸法律事務所・パートナー

早稲田大学法学部、慶応義塾大学法科大学院卒業。2012年弁護士登録(神奈川県弁護士会)。企業に寄り添う弁護士として労働問題を多く扱っており、交通事故や相続にも精通している。また、美容師養成専門学校において「美容師法」の講義を担当しており、美容業界にも身を置いている。社交ダンスの経験も豊富であり、メイクやヘアスタイルにも詳しい。2021年にはメンズ美容のモニターとして100日間チャレンジを行うなど、メンズ美容の重要性も説いている。「髪も肌もボディもケアさえちゃんとすればアンチエイジングは必ずできる」というのがモットー。

横浜二幸法律事務所
▽公式サイト=http://y-niko.jp/
▽TEL=045-651-5115

監修・執筆・イラスト/松本隆(弁護士)

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