
美容室に求められる礼節と誠実さとは?
新卒者の採用に際して「やってはいけないこと」を前回の記事で紹介した。では、求人活動において、最終的にはどのような美容室が選ばれるのか? 美容学校生の就職事情に詳しい仁田隼人さんに聞いた(第4回/全4回)。
礼節を持ち、「人」を大切に
新卒採用は、学校や美容学校生の「夢」「ビジョン」、そして「人」そのものを大切にできるかどうかが鍵です。美容師の仕事相手は機械ではなく、常に「人」ですが、サロンワークと同様に、新卒求人においても相手の心を害さない気配りが大事なのです。
美容学校の先生方にも生徒たちにも、礼節を持って接すること。お客さまに選ばれ続ける美容師はみな礼節をわきまえ、人を大切にし、人から好かれていますよね。それと同じです。
誇大アピールせず、誠実さを
月給25万円と聞いていたのに20万円だった。完全週休2日制と言っていたのに違っていた…これでは、新卒スタッフは勤務先の美容室へ不信感を持ち始めます。
このような誠実さを欠く美容室の噂はすぐに広まり、美容学校生は敏感に反応します。自店をよりよく見せようと、事実と異なる誇大アピールをしてはいけません。
例えば、自店の離職率も嘘偽りなく答えることが大切です。今の美容学校生は、その結果だけを見て「離職率が高いから辞退しよう」などの判断を下したりはしません。仮に3年で20%退職したと聞いても、内容を理解できれば、事情を把握した上で入社してくれます。
ここで重要なのは、説明力。それも、誠実さを伴う説明力です。相手が思う疑問に対し、一つひとつ丁寧に答える姿勢が大事です。
時期が早まる求人活動に注意
近年、大都市の美容室を中心に、採用に向けた動きが早まってきています。例えば2027年春入社の新卒採用に向けては、今年の10月(美容学校1年生が対象)からアクションを開始するケースがあります。
小型店や、地方・郊外の美容室も、こうした動きやスケジュール感を認識しておかないと、気付いたときには人材が少ししかいない事態に直面し、取り残されてしまいかねません。
この記事(全4回)は、2026年春卒業の美容学校生を念頭に置いていますが、来春以降に動き出す求人活動では、早めに行動を起こすことをおすすめします。
美容学校生の希望は十人十色 だからこそチャンスあり
美容学校生は、地元で働きたい人、実家から通いたい人、おしゃれな街で働きたい人、大都市で働きたい人、また大型店希望者、小さな美容室への就職を望む人など、理想とする就職先のイメージが一人ひとり違います。つまり、どんな美容室でも、新卒採用のチャンスがあるということです。
決して多いとは言えない新卒者を毎年定期的に採用していくには、早めの動き出しと、「働きがいがある誠実なサロン」であることを知ってもらうことが、何より大切なのです。
(完)

仁田 隼人
RECI代表
にった・はやと/数店舗を経て2009年、美容室RITA(埼玉県)に入社。同社COO(最高執行責任者)に就任し、13年連続売上高120%成長達成に貢献。その後独立してRECIを設立。現在週2日のサロンワークのほか、美容室向けの新卒採用専門オンラインアカデミー主宰、採用・育成・営業コンサルタントなど幅広く活動中。
取材・文/安武 隆、森永泰恵

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