美容業界は教育産業。アカデミー通じ、教育の充実図る

特集・インタビュー
美容業界は教育産業。アカデミー通じ、教育の充実図る

福岡で、美容室5店舗、まつげエクステサロン2店舗、保育園1校を運営している株式会社Safari(サファリ)。

ヴィダルサスーンパートナーシップサロンとして、サスーンのカリキュラムを取り入れ、教育には力を入れている。さらに今年1月、美容師の教育機関「Safari Academy(サファリ アカデミー)」を立ち上げた。

アカデミーを統括するのは、クリエイティブディレクターのNobu Etoさん。日本でのサロン勤務を経て2004年に渡英。ヴィダルサスーンアカデミーを卒業後、2006年からヴィダルサスーンクリエイティブディレクターのセッションアシスタントを2年務め、その後、ディレクターが独立して開いたサロンでスタイリストとして3年間勤務した経験をもつ。

人が財産。だから美容業界は教育産業

外資系コンサルティング会社の厳しさを表わす言葉として「UP or OUT(昇進か退社か)」というものがある。昇進を続けられるような人でないと社内に居場所がなくなるという意味だ。

Nobuさんは、ヴィダルサスーンで「UP or OUT」という言葉をよく耳にしたという。ここでのUPは昇進よりも自分を磨き続けていくという意味に近い。「人が財産の美容業界は、教育産業。ヴィダルサスーンの教育カリキュラムは、とても充実していました」と当時を振り返る。

クリエイティブディレクターのセッションアシスタントを務めたことで、世界的なコレクションや雑誌の撮影など、一流の現場を体感した。自身も、ロンドンコレクションやファッション雑誌でヘアメイクを担当。常に向上を目指す環境がそこにあった。

業界の問題は、教育に集約される

「UP or OUT」の環境でUPを果たす者の技術には、それに見合う価格が付けられていたという。

「僕がいた2000年代半ばのヴィダルサスーンのカット料金は、一番下のランクのスタイリストで60ポンド、サロンディレクター(店長)が100ポンド、一番上、インターナショナルクリエイティブディレクタークラスだと200ポンドでした」。

日本に帰国し、メニュー単価の安さに驚いた。

「単価が4000円では、100人の髪を切っても40万円にしかなりません。長時間労働、低賃金、社会保険の未加入などの美容業界の問題は、生産性が低いことが原因です。なぜ単価が低いのかということを掘り下げると、教育に行きつきます」とNobuさんは話す。

「中途半端な腕前でスタイリストデビューすると、お客さまに不信感を持たれる。施術の価値が低下し、価格が落ち、クーポンに頼るしかなくなるという負のスパイラルにおちいってしまう。センス、技術、人間力。これを上げていかないとお客様からお金をいただけません。そのためには、現在の日本の教育では不十分だと感じています」。

NobuEto2

都内のカフェで。言葉を選びながら真摯に語るNobu Etoさん

サロンワークで提案できるコレクション

そこで、立ち上げたのが「サファリ アカデミー」。そのAim(目的)は「センスと技術と人間力の向上を目指し、その能力をお客様のHAPPYに反映させ、次世代の美容師に伝える」こと。

アカデミーでは、SS(春夏)、AW(秋冬)の年2回、ファッションやヘア・メイクのトレンドを反映した、サロンワークで提案できるコレクションを撮影。その作り方を、カラーレシピなども公開して詳しく解説するセミナーを開催している。

2018SSコレクションは「SHEER FEMINE(シアー フェミニン)」「ROUGH CLASSICAL(ラフ クラシカル)」「GRAPHICAL PLAYFUL(グラフィカル プレイフル)」「SPORTS MIX(スポーツ ミックス)」の4スタイルを提案。

福岡から鹿児島まで九州各地でセミナーを開いたところ、数多くのサロンから参加者が集まり、手ごたえを感じたという。続く2018AWも好評を博し、現在は2019SSの準備を進めている。

SafariAcademyLogo

サファリ アカデミーは「センスと技術と人間力の向上」「その能力をお客様のHAPPYに反映させ、次世代の美容師に伝える」ことを目指す

九州から世界に通用する美容師を

Nobuさんは、自身のクリエイティブ活動についても、昆虫の機能美に着想を得たヘアデザインを突きつめるなど研さんを続け、海外のコンテストにも意欲的に参加している。

「海外のコンテストに挑戦することで得た経験も、アカデミーに活かしたい。九州から世界に通用する美容師を出したいと思っています」といい、今後も挑戦を続けていく。

Nobu Etoさんイチオシアイテム

ナカノ スタイリング ワックス 4F(ファイバータイプ) ハード

「プロフェッショナル」をコンセプトに開発された「ナカノ スタイリング ワックス(プロフェッショナルモデル)」。プロとしての「ヘアスタイルの創りやすさ」に徹底してこだわり抜いたシリーズだ。

Nobuさんのお気に入りは「4F(ファイバータイプ)ハード」。

「やわらかいのですが、ほどよいホールド感があるので幅広く使えます! 質感も今っぽい動きを出しやすいです」

▽容量90g
▽メーカー価1300円(税抜)
卸価でのお買い求めはこちら

Nobu Eto (Safariクリエイティブディレクター)
日本でのサロン勤務を経て2004年に渡英。ヴィダルサスーンアカデミーを卒業後、ヴィダルサスーンクリエイティブディレクターのセッションアシスタントを務める。2010年、ディレクターが独立して開いたサロンにスタイリストとして参加、カットの教育を担当する。
2013年、2014年資生堂ビューティーイノベーションアワード優秀賞。2014年、2015年NAKANOテクニカルコンペティション優秀賞。2014年、2017年JHA(ジャパンヘアドレッシングアワード)ライジングスター、エリアスタイリスト部門ファイナリスト。2016年JHAニューカマーオブザイヤーファイナリスト、エリアスタイリストオブザイヤー受賞。
Instagram : safariacademy

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