GTSS×ネイリー 大庭・浅倉両代表が語る「技術者個人をエンパワーメントする時代」

特集・インタビュー
GTSS大庭邦彦×ネイリー朝倉健吾CEOの業務提携記念の対談インタビュー
GO TODAY SHAiRE SALONの大庭邦彦代表㊨とネイリーの浅倉健吾CEO

価格ではなく施術内容で集客

── ここで改めて、「GTSS」と「Nailie」の規模感を確認したいのですが、現在の「GTSS」の店舗数を教えてください。

大庭 北海道から福岡まで全国20店舗です。利用者は美容師が300人、ネイリストとアイラッシュアーティストが合わせて30~40人ぐらいです。

最近はネイリスト、アイラッシュアーティストからの問い合わせがすごく増えていて、4月にオープンする名古屋パルコ店はすでにいっぱいになりそうな勢いです。ネイリストとアイラッシュアーティスト専用のシェアサロンをオープンすることも視野に入れています。

 

── 「Nailie」のダウンロード数とユーザー数はどのくらいでしょう。

浅倉 アプリのダウンロード数が50万で、カスタマーは35万人ぐらいです。ネイリストの登録は1万人を超えました。

ネイリーのアプリ画面
ネイル画像を見て気になるネイリストを予約する「Nailie」。昨年11月には、サイバーエージェントやSBCグループ(湘南美容クリニック)から出資を受け、資金調達は総額3億円に

 

── 2018年にスタートして2年ほどですから、ジャンルを絞ったアプリとしては目をみはる利用状況ですね。ネイリストを直接予約できるアプリをつくろうと思ったのはなぜですか。

浅倉 高額な広告費やクーポンサイトに頼らない仕組みをつくりたかったからです。僕は21歳のときに福岡でネイルサロンを開業して今はアイラッシュサロンも合わせて全国に25店舗展開しているのですが、予約サイトの利用料金が年間6000万円ぐらいかかっています。

広告費で疲弊しているネイルサロンはたくさんあります。広告費がかけられなくて、独立しても仕事が続けられないネイリストも少なくありません。ネイル業界のビジネスモデルを変えたいと思って立ち上げたのが「Nailie」です。

ネイリー朝倉健吾代表取締役CEO
「僕自身がサロンを経営しているからこそ、クーポンサイトに頼らない仕組みをつくりたかった」(ネイリー・浅倉CEO)

 

── 登録も掲載も無料で使えるのは助かりますね。

浅倉 広告費をかけないでも、個人で活動しているネイリストが注目されるプラットフォームにしたかったんです。今後は多少の手数料をもらう予定ですが、広告費が上がり続けるような形にはしません。

自店のスタッフといっしょに「これはおかしい」「こうなったらいいよね」と試行錯誤しながらつくっていきました。クレジットカードの事前決済によってドタキャンを防ぐ仕組みもその一例です。

「Nailie」は投稿されたネイル画像から気になるネイリストを予約します。価格で比べるのではなく「このネイリストに施術してもらいたい」というお客さまが増えれば、ネイル業界も変わっていくんじゃないかと考えています。

個人が独立しやすい環境を

── 大庭さんから業務提携を提案されたとき、浅倉さんはどう感じましたか。

浅倉 「Nailie」に登録しているネイリストには、独立したいけど初期費用がネックになるという人が少なくありません。ネイリストで月間売上が100万円を超えるのはひと握りなので、物件を借りるのも大変です。シェアサロンが使えるようになるのはすごくいいことだと思いました。ネイリストの働き方が広がりますよね。

大庭 我々の考えも一緒です。「GTSS」は長時間労働や低賃金を強いられて、独立したくてもできない美容師の働き方を変えるために立ち上げました。

古い業界ほど、いらないものがいっぱいあります。誰かが中間に入って利益を吸い上げると、お店も苦しいし、そこで働く若い人も苦しい。才能がある若い美容師が辞めるのは本当にもったいない。お客さんにとっても不利益です。

いらないものを取り除いてやれば、それだけで利益率は上がります。若者が押し潰されることなく、自分の才能を伸ばして仕事が続けられるようになりますよね。「GTSS」は中間をなくしているため、従来の店舗の3分の1ほどの売上でやっていけるんです。

GTSS大庭邦彦代表
「美容師の働き方を変えたい、そう思っています」(GTSS・大庭代表)

「GTSS」も「Nailie」も個人をエンパワーメント

── 「GTSS」は“コミュニティ型シェアサロンプラットフォーム”をうたっていますが、これはどんなものでしょうか。

大庭 同じ場所で働くことで「この人の技術はすごいな」と思えば聞くことができますし、集客を学ぶこともできます。それぞれの才能が組むことによって新たなマネタイズが可能になることもあります。刺激になるし、視野も広がるでしょう。いろいろな人と出会ってシナジーが生まれていくのがコミュニティ型シェアサロンなんです。

例えば、「GTSS」を利用している美容師の宮永えいと君はプロダクトを作ることで成功しています。働く場所さえ間違えなければ、だいたい人生はうまくいくんですよ。将来的には「Nailie」さんと一緒に、利用者向けの技術やマーケティングを学ぶセミナーをオンラインなどで行っていきたいと思っています。

今は個人をエンパワーメントする時代です。「Nailie」も「GTSS」も個人をエンパワーメントしています。僕は浅倉さんを同志だと思っているんです。

GTSS大庭邦彦代表
「個人をエンパワーメントする時代に、浅倉さんは同志」(GTSS・大庭代表)

 

大庭邦彦(おおば・くにひこ)
株式会社GO TODAY SHAiRE SALON 代表取締役
2007年1月に美美美コム(現・楽天ビューティ)を創業。2014年4月、楽天に売却。2017年10月に株式会社GO TODAY SHAiRE SALONを設立し代表取締役に就任。同年11月に個室型シェアサロン「GO TODAY SHAiRE SALON」1号店を原宿にオープン。2021年2月現在、全国に20店舗を展開。
GO TODAY SHAiRE SALON(美容師向けサイト

 

浅倉健吾(あさくら・けんご)
株式会社ネイリー 代表取締役CEO
2007年に21歳で起業し、株式会社ファイブスターを設立。アパレルFC店や販売代行店、ネイルサロンを立ち上げる。その後、飲食店も展開。2018年にネイリスト直接予約アプリ「Nailie」をリリース。2021年2月現在、ネイル&アイラッシュサロン「TRU NAIL&EYELASH」を国内25店舗、ベトナム・ホーチミンで「TRU NAIL&BEAUTY JAPAN」を展開。
Nailie(ネイリスト向け公式サイト)

 

構成・編集/大徳明子 ライター/大山くまお 撮影/山田星太郎

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