MINX菅野久幸取締役 「デキる店長革命」① デキる店長になれない7つの理由

特集・インタビュー

「店長スキル」を高める7つの意識

以上のようなことが原因で、店長職に行き詰まりを感じている方は多いと思いますが、この7つをクリアできれば、「デキる店長」への道が見えてきます。

さらに、その対策として、私が大切にしている以下の7つを実践すれば、「店長のスキル」は飛躍的に高まっていくでしょう。

①価値判断の基準を持つ

②評価は人と成果の両方で

③任せて任せず

④傾聴する姿勢を持つ

⑤環境を整える

⑥信念を貫く

⑦目標を達成させ、成長させる

①価値判断の基準を持つ

まずは「価値判断の基準を持つ」こと。

例えば売上で考えるなら、会社の掲げる目標数字もあると思いますが、自分の中でもボーダーラインを設定すること。

ここまでは確実に守っていこうという、良し悪しの判断を独自でブレずに行うことが、店舗運営の安定化につながります。

②評価は人と成果の両方で

スタッフを売上で評価することは一番分かりやすいのですが、人としての評価もきちんとしてあげましょう。

人というのは人柄ではなく、お店や他のスタッフにとって貢献してくれているかどうかの評価です。

自身の売上が伸び悩んでいたとしても、しっかり周りのことを考えてくれているかどうか。そういった側面をプラスした総合的な成果でジャッジすべきだと考えます。

③任せて任せず

3つ目は「任せて任せず」。店舗の中にはいろいろな役割があり、店長権限で「これをやってね、お願いね」で采配することも大事です。

しかし、注意すべきは、任せたとしても完全に任せ切らないこと。会社から「これはどうなっているの?」と問われた時、「誰々に任せている」では不正解です。

しっかりと任せながらも、経過の管理をしつつ、フォローしていくことが大切です。

④傾聴する姿勢を持つ

傾聴というのは、スタッフ一人ひとりの話に耳を傾けるのはもちろん、心にも向き合うことです。

そのスタッフは、何を考えてそういうことを言っているのか。

ただ話を聞くのではなく、スタッフの価値観に寄り添った上で咀しゃくし、それぞれに応じたフォローアップをして初めて「傾聴」と言えます

⑤環境を整える

この「環境」とは、スタッフが働く環境といったインフラ面のことではありません。

働きやすいに越したことはありませんが、それ以上に、スタッフが成長できる雰囲気づくりが大切です。

美容師としてどのように成長し、どのように夢を実現していけるか。目標達成に向けてモチベーションを高めていくことも、一つの環境づくりと考えています。

⑥信念を貫く

店長として掲げた目標や、自分が大切にしていることをしっかり貫いてほしいと思います。

実感として、今はやさしい店長が多いように思います。やさしいと若いスタッフは接しやすいのでしょうが、信念を持っていなければ、ただやさしいだけになってしまいます

自分の目標や、オーナーから課せられた数字を達成するために、時には厳しくてもいかにスタッフを導いていくか。

自分が美容師として大切にしている信念を示していれば、スタッフもそれに応えてついてきます。

⑦目標を達成させ、成長させる

7つ目は、店長向けのセミナーでも必ず言っていることです。「そもそも店長は何のために存在するのか」という問いに対する答えでもあります。

私は、店長とは「店舗の目標を達成するために存在する役職」だと思っています。それは数字だけでなく、スタッフの成長も含めた目標の達成です。

そのためには時に、オーナー以上に力を発揮する必要があります。

単店ならオーナーのリーダーシップが届きますが、2~3店舗になると、店長が目標を達成するためにスタッフとどう日々を過ごすかが大切になります。

ですから私は日頃から店長に、売上目標と、どうやってそれを達成させるのかという具体的な計画を、レポートにまとめて提出してもらっています。

そしてスタイリスト全員に、それぞれの目標や考えを書いてもらい、自身のロッカーの内側に貼っておくなどして、意識づけを行っています。

何かをやりとげるための力「GRIT」

最初に、リーダーシップとはスキルであり、勉強や経験によって磨いていくことができると言いました。

店長が備えるべき大切なスキルであるリーダーシップとは、スタッフ全員をゴールに導いていく牽引力ですが、もう一つ、大切な力として“自身を鼓舞する力”が必要です。

アメリカの心理学者が唱えたキーワードで、結果を出す人に備わっている4つのマインドの頭文字を組み合わせた「GRIT(グリット)」という言葉があります。

Guts
ガッツ:困難に立ち向かう「度胸

Resilience
レジリエンス:さまざまな状況に対応する「順応力

Initiative
イニシアチブ:自分で目標を見据え行動する「自発性

Tenacity
テナシティ:最後までやり遂げる「執念

私はこれを「やり抜く力」と定義しています。

自分がMINXに入社して、オーナーの高橋マサトモを始め、いろいろな先輩から「“夢をかなえる方法”は一つだけある」と教えられてきました。それは「諦めずに最後までやり遂げること」だと。

そういう意識を一人ひとりが持つことで、お店は確実に繁栄していくと、私は考えています。

(MINX菅野久幸取締役 「デキる店長革命」②へ続く)

菅野久幸
かんの・ひさゆき/1978年生まれ、山形県出身。東京都内に5店舗を展開するMINXグループの取締役。2013年にオープンした銀座店の責任者を務め、2年で160坪、セット面37面、スタッフ数60人に拡大。美容室のミシュランガイド「KAMI CHARISMA」に、銀座店として「トリートメントスパ部門」で2年連続受賞。MINX全体で7部門の最多受賞。コロナ禍の中、2020年12月の店舗売上は6060万円。この功績は業界でも話題になり、多分野で講師として活躍。中国では「菅野経営学院」を開講。2019年には年間3500人が受講している。

→「MINX流「デキる店長」革命」(女性モード社)

MINX流「デキる店長」革命
この記事の内容は『MINX流「デキる店長」革命』に詳しく掲載されています

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