
昨年4月から今年2月までの期間に起きた美容室の倒産(負債1000万円以上、法的整理)が過去最多の197件となった。帝国データバンクが2025年3月4日に発表した。
過去最多を2年連続で更新
帝国データバンクが2000年から続けている集計によると、これまで最も多かった2023年度(2023年4月~24年3月)の156件をすでに上回った。前年をおよそ2割上回るペースで推移している。

人手不足、コスト高、競争激化の三重苦
同社の業界動向レポートの分析によると、スタイリストの「人手不足」、美容材料や水道光熱費、テナント料などの価格上昇にともなう「コスト高」、新規開店が続くオーバーストアによる「同業者の競争激化」の“三重苦”が背景にある。
コスト増も値上げ進まず
こうしたコスト上昇に対し、施術料金の値上げが追いついていないのが現状で、2024年度のカット代(全国平均、2024年4月~12月)は約3700円と、5年間で約4%の増加にとどまっている。

“千円カット”の代名詞的存在だったQBハウスがすでに10年以上前から1000円よりも高いとはいえ、世相を見ながら小刻みに上げており、さらにヘビーユーザーには実質値下げとなる対応を取っている。値上げは失客を招くため、慎重にならざるを得ないというサロンが多いのも当然だ。
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美容師の3割が赤字
美容室の2024年度業績(2024年4月~2025年2月)は約3割が赤字だという。前年度からの減益を含めた「業績悪化」は6割に及ぶ。これはコロナ禍で業況が急激に悪化した2020年度(73.5%)に次ぐ高水準。美容室の経営環境は厳しい状態が続いている。
一方、来店客数は回復傾向にあり、今後は、プレミアムサービスの提供などによる「価格戦略の見直し」や、顧客データに基づくマーケティングといった「デジタル技術の活用」などが、美容室経営の重要なテーマになるとしている。
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