
ホットペッパービューティーアカデミーは、全国20~69歳の男女を対象に「薄毛に関する意識調査2025」を実施しました。男性が薄毛であると認識している割合や悩みを抱えている比率は女性と比べると高いため、「薄毛=男性の悩み」という印象は根強いかもしれません。
しかし最新の調査からは、薄毛をめぐる女性の関心の高まりも浮かび上がってきました。女性も「予防」や「不安」から対策に積極的な姿勢を見せています。美容室での「育毛促進や髪のボリュームアップ提案」にも広がりを見せる薄毛市場の最新動向をお届けします。
文・作表 田中公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
目次
①薄毛市場は予防ニーズで拡大、総額5137億円に

今年度より薄毛対策・予防の市場規模も公開しています。2025年の市場規模推計では、5137億円に達しました。
内訳をみると「薄毛である」人の市場規模が2459億円に対し、「薄毛でない」人による予防目的の市場が2678億円と、後者が上回っています。

注目すべきは予防市場における女性の存在感です。金額ベースで見ると、「薄毛でない」人の予防にかける女性の市場規模は1420億円で男性の1258億円を上回っており、市場をけん引しているのです。
②「薄毛である」人の比率は男性25%、女性7.4%

「薄毛である」と自認している人の割合は、男性では25.0%、女性は7.4%と、男性が高い傾向にあります。一方で「薄毛ではないが不安を感じている」人は女性が23.3%と4人に1人弱の割合に達し、男性(19.4%)より高い結果に。
実際の症状に限らず、「将来的な変化に備えたい」という予防的な意識の高さが女性では顕著に見られ、潜在的なニーズの大きさがうかがえる結果となっています。
③女性は「分け目」や「全体のボリューム感」を重視

薄毛が気になる部位には、性別によって違いが見られました。男性は「頭頂部」「前頭部」が上位に挙がる一方、女性では「分け目」が最も多く、「全体的に気になる」の回答も男性より高い割合を示しました。
年齢を重ねることで髪の立ち上がりが弱まり、「分け目がぺたんこになる」といった変化も生じやすくなります。こうした悩みには、理美容室でもヘアスタイルやスタイリングの工夫で目立ちにくくする提案がお客さまに喜ばれるでしょう。
④月々の対策費は女性で上昇傾向、平均3472円に

薄毛対策にかける1カ月あたりの平均金額は、男性が4168円、女性が3472円。特に女性は前年より約900円増加しており、市販アイテムを日常に取り入れる動きが広がっていると考えられます。


女性の「育毛エッセンス・ローション」「薄毛対策用シャンプー」などの使用率も前年より伸長し、日常の美容ケアの一環としての位置付けが強まっています。
⑤情報収集は「ネット」中心、美容師の役割にも期待

薄毛対策の情報源として最も多かったのは「インターネット検索」と「TV・ラジオCM」。一方で女性は「美容師・理容師に相談する」という選択肢も一定数存在していました。


ただし、理美容室で相談できない理由の上位には「恥ずかしいから」という心理的ハードルが。予約時に悩みを入力できる仕組みや、対策メニューの見える化など、相談しやすい雰囲気づくりが求められます。
⑥ボリュームアップの満足度1位は「パーマ」

実際に理美容室で試したボリューム対策では、「ボリュームが出る髪型(カット)」や「ヘッドスパ」などが上位にランクインしています。
一方、満足度の1位は「ボリュームアップできるパーマ」で76.3%が満足と回答しています。分け目の立ち上がりや全体の印象を変える力があるため、特に女性の支持を得やすい施術といえそうです。
⑦広がる理美容室の可能性
薄毛対策は「いまの悩み」に加えて「これからの不安」にも応える分野へと進化しています。特に女性の関心の高まりは、「髪のボリュームアップ対策」や「育毛促進」など、理美容室での提案やアドバイスの幅を広げるチャンスです。
まずは“相談しやすさ”の仕掛けづくりから。理美容師の声かけやメニュー提示が、ファーストステップにつながっていくでしょう。
■ データ出典
■ 調査期間
・スクリーニング調査:2025年7月11日(金)~13日(日)
・本調査:2025年7月24日(木)~7月28日(月)
■ 調査対象
・スクリーニング調査:5万人 ※人口動態に基づき性年代を割り付け
・本調査:2065人(全国20~69歳男女、現在薄毛の認識があり、薄毛を気にしている人)※スクリーニング調査での出現率を基にウェイトバックを実施

田中 公子
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
TANAKA KIMIKO/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとする美容サロン利用調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。
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