
弁護士の松本隆さんによる連載『ヘアサロン六法』。
第61回は騒音・悪臭トラブル対応を取り上げます。
美容専門学校で美容師法の講義を担当している松本さんが、軽妙なトークとイラストでとことんわかりやすく解説します!
目次
「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく!」

こんにちは!弁護士の松本隆です。
大きな裁判で立て込んでおり、1カ月程度お休みをいただいておりました。今回から再開です!
この連載では「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく」をモットーに、あえて内容をシンプルにしてお送りしています。
事例から見てみましょう。
私はXサロンの経営者でAといいます。
Xサロンは、昨年オープンして順調に経営できていました。
しかし、最近、下の階のコンビニが閉店し、今度は飲食店ができたのですが、料理の臭いがうちのお店にまで入ってくるようになりました。
うちはヘアサロンなので臭いが来るのは非常に迷惑です。
このような場合、ビルのオーナーと下の階の飲食店のオーナー、どちらに責任があるのでしょうか?

臭いや騒音に悩まされている方はいませんか?
サロンは「リラックスや癒しを提供する空間」であるはずです。
しかし、店舗の隣や下の階が飲食店や大きな音を出すお店である場合、騒音や悪臭によって営業に支障が出ることがあります。
「施術中にお肉のにおいが…」
「カラー中のお客様から騒音がうるさいというクレームが出るようになった…」
そんな状況で、どうやって法的に対応すればよいでしょうか。
この記事では、美容室やサロンの隣接施設による騒音・臭気トラブルについて、オーナーが取るべき具体的な法的アクションを解説します。
「証拠を作る」という意識を!
臭いや騒音の問題は「個人によって感じ方が違うのでは?」と思われがちです。
しかし、「証拠化」すれば客観的な主張が可能になります。
①騒音の場合の証拠化の方法
・「騒音計アプリ」や「簡易測定器」で騒音を数値化する
→騒音の単位は「dB」(デシベル)です。行政の職員に騒音の計測を依頼する例もありますが、自分で業者に依頼することも検討しましょう。
・時間帯・頻度・音の種類を記録する
→騒音がする時間がいつなのか、1時間のうちどのくらいの時間騒音が続くのか、何の音なのかを残します。
・「録音」や「録画」をして記録に残す
→施術中の録音・録画の場合はお客様に同意を取るのがよいでしょう。
②臭いの場合の証拠化の方法
・臭気の記録を取る
→臭気判定士に測定結果を報告書にまとめてもらうという方法があります。
・時間帯・発生源・状況を記録する
→日誌形式でも構いません。
・お客様のクレームやアンケートを記録する
→お客様から「〇〇の臭い」とか「ずっと臭いが充満していた」などというアンケートをいただくことでより臭いの感じ方が明確になります。カルテに記録を残すのでもよいでしょう。
