
ホットペッパービューティーアカデミーが行う、美容サロンの利用実態調査「美容センサス」。今回は、「脱毛サロン」市場について解説します。
直近では、長年にわたり業界を牽引してきた大手脱毛サロンの破産が報じられ、業界内外で大きな話題となっています。エステの脱毛市場は、前年比で2割を超える大幅な縮小。それでも、サロンを訪れるお客さまがゼロになるわけではありません。
調査から見えてきたのは、「広く使われる」から「選択される」市場へと変化する姿です。いま求められる脱毛サロンのヒントを読み解いていきましょう。
文・作表 田中公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
目次
①脱毛市場は大幅縮小、それでも“消えない”ニーズがある理由

2025年、エステの脱毛サロン市場規模は1121億円。前年比で21.3%減と、市場は4年連続の縮小となりました。大手チェーンの経営変動や、医療脱毛・セルフ脱毛の普及による選択肢の増加など、市場構造は大きく変化しています。
しかし、市場が縮小しても、脱毛そのもののニーズが消えているわけではありません。むしろ、以前よりも「どこで、誰にしてもらうか」が厳しく見られる時代になったと言えるのではないでしょうか。つまり、「売れる」時代から「選ばれる」時代へと変化しているように見受けられます。
②サロン通いの頻度は減少も、1回あたりの期待値は上昇中


女性の脱毛利用者における、1回あたりの平均単価は7765円と、前年比で4.1%増加。一方で、年間の平均来店回数は3.94回と微減しています。
この動きは、「たくさん通って少しずつ」よりも、「少ない回数で高い効果を実感したい」という価値観の高まりを示しています。サロンに求められるのは、“効率的”かつ“満足度の高い”施術体験と言えそうです。より一層、来店1回ごとの高い顧客満足が得られるサロンづくりがカギになるでしょう。
③「顔脱毛」が急浮上、眉・まつげメニューとの連動も?

女性の脱毛部位ランキングで、「顔」は前年の9位から6位へと大きく順位を上げました(19.2%→22.7%)。
これは眉毛スタイリングやまつげパーマなど、「目元まわりの美容」に対するニーズの高まりとリンクしていると考えられます。とくに眉まわりの産毛処理や額のラインを整えるケアは、眉デザインの仕上がりを左右するため、顔脱毛と眉メニューをセットで提案する動きに今後注目しています。
一方でデータをさらに見ると、全体のサロン利用率は減少しているものの、部位ごとの施術率はむしろ上昇しています。
特に「ワキ」「Vライン」「Iライン」などの定番部位は前年より利用率が増えており、「通う人は減っても、利用者一人あたりの施術部位の多様化」が進んでいることが分かります。

さらに男性のデータを見ると、従来トップだった「ひげ」以外の部位「Iライン」「ワキ」「ヒジ下」などの利用率が上昇しており、男性も施術部位の多様化が進んでいます。
男性脱毛市場も今後は“顔まわりだけ”ではなく、“全身のさまざまなパーツ”へと広がっていく可能性がありそうです。
