1年で黒字化達成――実行力と戦略思考で掴んだ成果 ユーグレナ植村弘子Co-CEOインタビュー

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1年で黒字化達成――実行力と戦略思考で掴んだ成果 ユーグレナ植村弘子Co-CEOインタビュー

ユーグレナをこよなく愛する植村弘子Co-CEO

2024年、7年間続いた赤字を脱し、黒字化を実現したユーグレナ。同社取締役代表執行役員Co-CEO兼COOの植村弘子さんがユーグレナに入社してからわずか2年での出来事だ。短期間で成果を上げた背景には、実行力と戦略思考、そして揺るぎない情熱があった。

出会いは涙と共に──出雲さんのスピーチに心を打たれて

「初めて出雲さんのスピーチを聞いたとき、涙が止まらなくなったんです」

植村さんは、ユーグレナとの出会いをそう振り返る。今から15年以上前、とあるイベントの表彰式に参加した際、出雲充氏のスピーチに強く心を揺さぶられたという。

「『ミドリムシで世界を救う』。その普通に考えたらクレイジーだが、真剣で熱い心意気に感動したのです。そのとき、『この会社に行こう』と決めて、スピーチを聞きながらガラケーでユーグレナを検索しました。すると『1名募集』と出ていて、これは私を呼んでいるんだって」

しかし当時、植村さんは株式会社一休の社員だった。熱い想いを一休の創業者・森正文社長に伝えると「地球を救う前に一休を救ってから行け」と言われ、一度はその夢を胸にしまった。そして、ユーグレナが上場するとすぐ株主となり、外部から熱いエールを送り続けてきた。

各社の強みを最大化──黒字化への具体策

23年4月、植村さんはユーグレナに入社。たった1年で同社7年ぶりの営業黒字化を実現した。

「凄いことは何もしていません。できることを全部見直しただけです」

黒字化のための取り組みを問うと、植村さんは即答した。まず着手したのは、社内外の現状を徹底的に棚卸しすることだった。コストの見直しでは、財務チームに「容赦なくやってほしい」と指示。出てきた資料には、逃げ道を許さない鋭いコメントが並び、植村さん自身も「うわ、それ言うんだ」と驚いたという。

「経営陣もお互いに痛いところを指摘し合いました。全て洗い出して、エクセルのリストを1行ずつ改善していきました。誰もが嫌だなと思うことまで徹底的にやった。でも、そこをやらないと変われないと思ったのです」

まずユーグレナ単体で変わるべきところを徹底して洗い出し、グループの中でどのようにシナジーが生まれるかを考え抜いた。協力できるところは協力して、無駄を省き、グループ各社の強みを最大化した。

「けっして難しいことではないです。当たり前のことを当たり前にやるという1年でした」

ユーグレナ植村弘子Co-CEOインタビュー
かつて「破壊者」という異名があった植村さん。「聖域なき改革」を断行した

決断に伴う覚悟──組織変革と経営の責任

黒字化に向け、植村さんは組織構造の根本的な改革にも着手した。早い意思決定が可能な、利益を出せる組織にするための、痛みを伴う選択だった。

それでも今やらなければ未来はない。植村さんは経営者の一人として、決断する責任を引き受けた。

「ユーグレナが変わるためには、スピード感とオーナーシップを持った組織にする必要があった。この組織改革の責任はすべて私にある。そう思って進めました」

後から会社に入った者として、心に決めていることがある。それは過去の努力への感謝を忘れないことだ。

「この20年の積み重ねがあったからこそ今がある。それを忘れたら、この会社にいる資格はないと思っています」

ユーグレナのこれから──厳しいことを面白く

黒字化を達成したとはいえ、ユーグレナはまだスタートラインについたばかりだ。

「本来、黒字化は事業をどんどん伸ばして達成するものです。だから、これまでスタートラインに立つための種まきをしてきたという感じですね。そのために、削るべきものを徹底して削っていったんです」

植村さんの視線の先には、過去でも現在でもなく、進化し続けるユーグレナの未来が見えている。

「『信じられるものを信じる』会社にしたい。厳しいことをやらなければいけないのは、誰もがわかっていると思います。でも、挑戦が面白く感じられる会社になっていたら最高。そんな組織を目指しています」

ユーグレナの経営の現場に立つ今、植村さんは変わらぬ情熱で次のステージへ挑み続ける。

「世の中にこんなにたくさん会社がある中で、わざわざこんな変態企業を選んできた(笑)。ミドリムシが世界を救うんですよ? それを信じてみんな入ってきたんでしょ! って言い合いながら、前を向いて成長し続けていきたいですね」

ユーグレナ植村弘子Co-CEO

植村 弘子

ユーグレナ
取締役代表執行役員Co-CEO兼COO

うえむら・ひろこ/エスビー食品で5年間、営業・PB商品の企画に従事。その後17年間勤めた一休では、レストラン事業および宿泊事業の営業・営業企画等に従事後、カスタマーサービス部部長、執行役員CHRO管理本部長を歴任した。2023年4月にユーグレナに入社し、執行役員CSXO(最高ステークホルダー責任者)兼人事部長を経て、2024年1月より現職を務める。

取材/大徳明子 取材・文/大山くまお 撮影/漆戸美保

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