CANAAN 長崎英広さんの時短マネジメント術「整理整頓、鍛錬、教育がカギ」

特集・インタビュー

今の時代に求められている「時短」について、東京の人気サロン『CANAAN』の代表を務める長崎英広氏にうかがいました。

経営者としての視点、長期目線での「時短」への取り組みは注目です。

 

文・写真 女性モード社

CANAAN 長崎英広さんの時短マネジメント術「整理整頓、鍛錬、教育がカギ」

CANAANの長崎英広代表

「サロンワークにおける時短」とは

サロンには、「低価格帯」を売りにしているサロンと、「高価格帯」を売りにするサロンがあります。

低価格帯サロンは、とにかく生産性を第一に考えて取り組めるため、時短の方法はいくらでもあります。

例えば、そもそも時間のかかる施術をメニューに入れない(=凝った施術をなくす)ことで、短縮することができるのです。そして、そういったサロンを求めるお客さまもたくさんいます。

一方で高価格帯サロンは、いわゆる「無駄」とも言えるようなところに価値を見いだします。

カット・カラー・パーマそれぞれの施術方法でも、凝った、時間をかけてつくり上げる、デザイン性の高いヘアスタイルを提供するということです。そして、それを求めるお客さまもまた一定数いるのです。

そんな中でできる時短は何かと言えば、「整理整頓」「鍛錬」「教育」の3つだと考えます。

CANAAN 整理整頓された店内

時短は「整理整頓」に始まる

まず、サロン内でできる時短として、「カラーの放置時間を短くしてはどうか?」という考え方があると思います。

近年、ファッションカラーに関しては、短時間でも高発色なカラー剤も増えてきましたが、グレイカラーはどうしても時間が必要です。

時間を短縮できるものと、できないものとの見極めが大切。時間がかかる施術/かからない施術は何かを「整理整頓」することが、時短の近道になります。

カラー施術で言えば、予約の時点で施術内容を鑑みて(ファッションカラーとグレイカラーのお客さまの比率等を考えて)整理しておくようにすれば、「お客さまが来店してみたら、時間のかかる施術のお客さまでいっぱいで、待ち時間が長かった」というようなことは起こらずに済みます。

そういった細かな整理整頓こそが、時短の第一歩となります。

CANAAN オシャレな管理板
サロンのすみっこに置かれたオシャレな管理板。お客さまの施術に合わせ、流す時間と座っている場所に、それぞれ同じアルファベットの磁石を置いてカラーやパーマ施術での放置時間を“見える化”。誰かが指示を出すのではなく、その管理板を見て、それぞれが判断し、お客さまを待たせることなく次の工程に進められるよう工夫している

時短は「鍛錬」の積み重ね

「時短」を実現させる上で欠かせないのは、やはり一つ一つの施術時間を向上させることにあります。それには「鍛錬」が欠かせません。

8年前から取り組んでいるのは、施術の基準時間を設け、その時間内で完成するよう施術のクオリティを上げていく仕組みをつくることでした。

全施術内容のうち、7~8割は15分、残りの2~3割は30分で完結できると考えています。

15分でできるものは、シャンプー、ウエットカット、1人でのカラー施術、ブロー、ホイルワークなどです。ウエットカットは、ここでカット全体の95%は完了させるよう指導しています。

練習時には25枚、実際の営業では心理的プレッシャー等も考慮して15枚。実際、15枚もあれば充分なデザインカラーを提案できますし、短時間での施術がかなうのです。

また、ホイルワークは全頭に入れると60枚を軽く超えてしまい、時間もかかります。だから、15分でできる範囲の枚数でデザインしていくことを学ばせています。

パーマ施術も15分でできるものと30分でできるものを分けて時間構成を考え、お客さまに提案できるようにしています。その時間をしっかりと守りつつ、高価格帯サロンとしてのクオリティを担保するには、鍛錬が必ず必要になるのです。

CANAAN 整理整頓されたハサミ

「教育」も営業時間を有効活用

「時短」はサロン内での教育方法とも大きく関係していると考えています。特に高価格帯サロンは、低価格帯サロンよりも、サロンでの「教育」に力を入れる必要があります。

我々世代の「教育」や「鍛錬」というと、どうしても、営業前と営業後の長時間にわたる練習をイメージする方も多いのではないでしょうか。

しかし、今の時代は教育方法も変えるべきだと思います。『CANAAN』では、教育も基本、営業時間内で7割以上を実施しています。

CANAAN

ひと昔前は、「苦労を人前で見せるべきではない」という考え方が美徳とされてきましたが、今は「苦労は人に見せてOK」な時代です。営業時間中、空いているスペースでウイッグを使って教えたり、練習したりする姿を、お客さまは好意的に見守ってくれています。

そして、練習するアシスタントも、決められた時間内に、しかもお客さまに見られながら練習するため、背筋もスッと伸び、より集中して取り組むことができています。

ダラダラと遅くまで練習するよりも学びは多く、そしてアシスタント時代から営業後のプライベート時間も確保できるようになるのです。これがひいては離職率の低下にもつながります。

社員たちのプライベート時間も考え、使える時間を整理整頓して有効活用しながら教育することで、離職率を減らす。そして入社したアシスタント全員が、脱落することなく、基準時間内でハイクオリティな施術ができるスタイリストになるように大切に育てることが、『CANAAN』成長の大きなカギとなっています。

CANAAN 長崎英広氏プロフィール

CANAAN 長崎英広

長崎英広(CANAAN代表)
三重県出身。旭美容専門学校通信課程卒。「MINXセントラル店」代表、「MINX原宿店」代表を経て、2012年3月、東京・表参道に「CANAAN」を設立。現在は銀座にも展開している。国内外で数多くのセミナー活動を行っており、受講者は年間1万人を超える。その他、メーカーのヘアカラー剤開発の技術協力を行うなど、国内トップのカラー技術者としての顔も持っている。

※この記事は『スピード施術徹底マスター』の文章・画像を流用しています

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