有名美容師や異業種のプロフェッショナルが、愛用品とその思い出について語る「千一夜モノ語り」。
記念すべき第1夜は、スタイリストデビュー前から話題を集め、DJとしても活動しながら、原宿の有名店で15年にわたり活躍した内田聡一郎さんです。
愛用品には、人柄や生き様が表れるもの。今年2月に独立し、3月1日、自身初のヘアサロンとなる「LECO(レコ)」をオープン。美容業界の枠を越えて注目を集める内田さんに、これまでの道のりと共にあった愛用品、今後の展望を聞きました。
⇒千一夜モノ語り 内田聡一郎の愛用品 ①前編 ②中編 ③後編
千一夜モノ語り 第1夜 (前編)
──メガネをかけるようになったのは、ここ数年のことですね。
僕は、年の割に若く見られることが多い。それがイヤじゃなかった。でも、29歳でクリエイティブディレクターという立場になり、35歳ごろから、大人っぽく見せたいと思うようになりました。それで、メガネをかけてヒゲを生やして。
視力は左右とも1.0あるので、家ではかけていません。メガネキャラになろうと思ってかけたメガネなんです。目のくまができやすいので、くま隠しにも役立っています。
──今日のメガネは、特にお気に入りのものだとか。
メガネは10本くらい持っていますが、スタメンは3本。このメガネは一番よくかけています。
昨年あたりから流行っているツーブリッジで、つるにベッコウが使われているのがカワイイ。黒いフレームを選ぶことが多かったのですが、これはあえてのメタルフレーム。なかなか他にない感じです。
『Ayame』『OLIVER PEOPLES』のものが好きで、メガネをかけ始めてからずっと、恵比寿のセレクトショップ『Continuer(コンティニュエ)』で買っています。
──“おしゃれキング”のこだわりですね! 『CHOKi CHOKi』の読者モデル当時は、スタイリストデビュー前だったにもかかわらず、指名の電話がかかってきていたそうですが。
“おしゃれキング”の効果はすごかった。アシスタントなので髪は切れないのですが、シャンプーだけでもというお客さんがいっぱいいました。今思うと、やっぱり調子には乗っていたでしょうね。
スタイリストデビューしてからも、美容師としてよりモデルとしての認知度の方が高くて。それがコンプレックスで、とにかくたくさん練習しました。
独立し、強く抱く感謝の気持ち
──その後、美容師としての評価を確立し、業界誌や一般誌の撮影、ヘアショーを手がけるようになり、ついにご自身のサロンをオープンされました。
あれもこれもと貪欲にやってきましたが、3年前に2週間ほど入院することに。考える時間ができ、美容師が独立する年ごろでもあるので、おのずとそういう意識はあったかもしれない。でも自分の中では、プレイヤーとして活躍することの方に気持ちが向いていました。
今年、38歳で独立して経営する立場となり、感謝の気持ち、自分だけじゃできないという意識が強くなりました。
──周囲の大切さを強く実感するようになったということですね。
僕はせっかちなんです。物事を進めるスピードが速いということなので、いろいろな挑戦を行う上ではプラスに働いてきました。バリバリやりたいという気持ちがずっとあります。オーナーだけどプレイングマネージャーでいたい。
ただ、このスピード感やエネルギーは誰にでも当てはまるものではない。人が育つスピード感、必要なこと、不必要なことの判断など、経営者として考えるようになりました。
人が持つ、それぞれの色を活かしたい
──スタッフは、どんなタイプが集まっているのでしょう。140人ちかくの応募があり、4次面接まで行ったそうですね。
キャラクター的には、本当にバラバラです。最初に幹部を決めてから、この人はこういうことが得意そうだな、この人はグループに一人いるといいなと、バランスを見ながらいろんなタイプを採用しました。
──昔の内田さんに似ている人も?
いえ、自分に似ている人はいません。僕は原宿で15年やってきた人間なので、技術を追求し、コンテストに出場し、撮影を行う、意識の高い美容師でなければという感覚がある。自分と意識を同じくする人が集まるのがいいのかなと思ったこともありますが、今は、自分とは違う人を許容すること、多様性が大事だと思います。
──多様性は、美容業界でも今後さらに求められることになりそうです。
美容業界で大成することを追い求めなくてもいいと思っているんです。幸せを感じるフィールドって、人それぞれなので。
店を出すと決めた時からずっと『人が辞めないサロン』を目指しています。経営方針や教育方針が合っているかは、まだ結果が出るほどの時間が経っていないのでわかりませんが、オープンから半年経っても誰も辞めていません。
──それぞれの個性や生き方を大切にされているのですね。
内田は自己プロデュースが得意と思われていますが、これからはスタッフの個性を引き出したり、輝かせたりする側、人やサロンをプロデュースする立場です。
今は、僕が前面に出ていて“内田のサロン”というイメージですが、1年後には、LECOというサロンブランドを確立し、スタッフそれぞれの色が出ているサロンにしたい。僕の存在は一歩ひいたところにありたいと思います。
千一夜モノ語り 第1夜 内田聡一郎の愛用品
⇒①前編/メガネ/「大人っぽく見せたい。そういうステージに来た」
⇒②中編/シザー&シザーケース/職人気質を自認。「商売道具には、とことんこだわる
⇒③後編/DJコントローラー/美容室の枠を越え「カルチャーが交差するサロンに」
■内田聡一郎(うちだ・そういちろう)
LECO(レコ)代表。1979年8月30日生まれ。神奈川県出身。県内のヘアサロン1店舗を経て、東京・原宿の「VeLO」にオープニングスタッフとして参加。店長兼ディレクターとして活躍。2009年、「VeLO」の姉妹店「vetica」のトップディレクターに就任。サロンワークを始め業界誌、一般誌の撮影、セミナーやヘアショーなど幅広く活躍。プライベートではDJとしても活動。2018年3月、自身初となるサロン「LECO」をオープン。
■LECO(レコ)
http://leco.tokyo/
Instagram:soucuts
住所:東京都渋谷区渋谷1-5-5デュラス青山B1階
TEL:03-6874-3850
営業時間:11:00〜21:00/日・祝日11:00〜19:00(毎週月曜休み)